【向井智香のヨーグルトの世界へようこそ vol.4】ヨーグルトの基礎知識<分類編>

【向井智香のヨーグルトの世界へようこそ vol.4】ヨーグルトの基礎知識<分類編>

こんにちは、カップヨーグルト研究会・向井智香(むかいちか)です。ヨーグルトの基礎知識シリーズ、今回は<分類編>をお送りします。 早速ですが、ヨーグルトの5大分類をご存知でしょうか?

 

  • プレーンヨーグルト
  • ハードヨーグルト
  • ソフトヨーグルト
  • ドリンクヨーグルト
  • フローズンヨーグルト

 

どうでしょう。

いまいちピンとこないなぁと思うのは、わたしだけではないはず。

それもそのはず、これは製造方法をベースとした分類なんです。消費者目線だとちょっと参考にしづらいですよね。

 

そこで今回の記事では、基本の5大分類は押さえた上で、カップヨーグルト研究会イチオシのヨーグルトの分類をご紹介します。

 

 

 

基本の5大分類

まずはヨーグルト製造業界に敬意を表し、基本の5大分類のご紹介から。

 

(1)プレーンヨーグルト

乳を乳酸菌で発酵させたのみ、味付けなしのシンプルなヨーグルトです。

メーカーさんによっては、フレーバータイプとの区別のために加糖されていても「プレーン」と名付けられている商品もありますが、この分類では除外されます。

 

プレーンヨーグルト

 

(2)ハードヨーグルト

寒天やゼラチンを使って、プルプルとした質感に固められたタイプです。味付けされたものが一般的です。

食感のデザインができる他に、輸送時に振動を受けてもホエイが分離しづらいことや、子供でもこぼさずに食べやすいなどのメリットがあります。日本ではプレーンよりも先にこのハードタイプが作られていました。

 

ハードヨーグルト

 

(3)ソフトヨーグルト

ヨーグルトを発酵させたのちに、攪拌して滑らかにしたタイプです。

発酵後にフルーツや甘味料などを混ぜ込んだ結果としてソフトヨーグルトになったものが多いですが、中にはトロっとした食感を演出するためだけにプレーンのまま攪拌された商品もあります。

 

ソフトヨーグルト

 

(4)ドリンクヨーグルト

ソフトヨーグルト同様、発酵後に攪拌して液状にしたものです。

飲むヨーグルトは食べるヨーグルトを希釈したものと思われていることが間々ありますが、ただ固形分を解したのみで、成分は全く同じです。口当たりは濃厚なものからサラサラなものまで様々ですが、攪拌の具合や乳酸菌の特性によるところが大きく、乳成分の濃度はあまり影響しません。

加糖されたものや、フルーツが混ぜ込まれたものなどが主流です。

 

ドリンクヨーグルト

 

(5)フローズンヨーグルト

ヨーグルトを凍結させたものです。

乳酸菌は凍結させても死滅しないため、製造編でご紹介した「生きた乳酸菌・ビフィズス菌または酵母が1ml中1,000万個以上」という条件はクリアしており、「発酵乳」としての種別で販売ができます。

ただし、ヨーグルトは水分が多いため、そのまま凍らせるとカチカチになってしまいます。

空気を含ませるようにかき混ぜながら凍らせるなどの工夫が必要です。

 

フローズンヨーグルト

 

 

 

機能性ヨーグルト

さて、ここからはカップヨーグルト研究会独自の分類になります。捉え方によっていくらでも分類ができてしまいますが、ここでは近年関心の高いと思われるジャンルに絞ってご紹介させていただきますね。

 

まずはスーパーのヨーグルト売り場でもすっかり居場所が定着した機能性ヨーグルト。その火付け役はやはり「明治プロビオヨーグルトR-1」でしょうか。

 

2010年10月〜翌年3月までの間、佐賀県有田町の学校給食にR-1ヨーグルトを出したところ、周辺の市町村と比較してインフルエンザの感染率が低かったとされる研究結果がテレビで紹介されたことをきっかけに、2012年冬に大ブレイクしたのでした。

 

市場のデータでは1990年代には機能性ヨーグルトが定着したとされていますが、個人的には、ヨーグルトに使われている“菌”が持つパワーに着目される傾向がより強まったのはこの頃からと感じています。

今や菌に期待される効果は多岐にわたり、免疫、ピロリ菌、内臓脂肪、尿酸値、口内環境、アレルギー、便通、紫外線等々、アプローチ別に様々な商品が開発されています。

負担なく継続摂取できるよう、サラサラのドリンク状になったものが主流です。特定保健用食品や機能性表示食品になっているものも多いので、パッケージの表記を参考にご自身のニーズに合ったものを選択してみてください。

 

機能性ヨーグルト

 

 

 

スイーツ系ヨーグルト

ヨーグルトといえば400gパックや3個、4個セットなどが主流な印象ですが、近年大きな伸びを見せているのが個食サイズのヨーグルトです。

 

その中でも向井が特に注目しているのがスイーツ系。

 

2011年に森永乳業さんから発売された「ギリシャヨーグルト パルテノ」は、濃密でクリーミーな食感と、別添の蜂蜜やソースをかけて味わうリッチな体験から、従来のヨーグルトが持つ”朝ごはんのお供”というポジションに留まらず、間食・ご褒美といった特別な地位をも獲得しました。

 

スイーツ系ヨーグルト

 

核家族化や単身者の増加、ヘルシー志向の高まりなども追い風となり、この頃から個食サイズのヨーグルトはメキメキと発展したように感じています。

 

最近ではインスタ映えを意識した驚きのビジュアルのものや、ヨーグルトとソースが分かれた2層のもの、大きな果肉がゴロゴロと入ったもの、タピオカなど流行の食材が入ったもの等々、あらゆる仕掛けが登場していて研究も大忙しです!

 

 

 

 

ボディメイク系ヨーグルト

フィットネスブームや糖質制限ブーム、たんぱく質の重要性の認知拡大などの影響で、ヨーグルトは良質なたんぱく質源としても注目されるようになりました。

 

牛乳のたんぱく質には、必須アミノ酸がバランス良く含まれています。

 

さらに発酵の過程でたんぱく質の一部はペプチドに分解されているため、吸収効率も高くなっており、ボディメイクにはもってこいの食材です。

 

近年ではそのニーズに着目し、よりストイックにカロリーを抑えるため脂肪分をカットし、水切りをしてたんぱく質の割合を高めたヨーグルトが多数販売されています。

 

2015年にダノンジャパンさんから発売された「oikos」を筆頭に、明治さんの「THE GREEK YOGURT」や「TANPACT」、森永乳業さんの「PROP プロテインヨーグルト」、国分フードクリエイトさんの「GREEK PROTEIN YOGURT」「飲むギリシャ」などがその一例です。

 

 

個食カップが主流ですが、ドリンク、ファミリーパックなどにも広がりを見せ始めています。 水切りをするとモッタリと重い質感になるため、低カロリーの割に満腹感を得やすいのも魅力の1つです。

 

 

 

植物性ヨーグルト

こちらも最近よく耳にするようになったジャンル。

 

いわゆる「植物性ミルク(プラントミルク)」を乳酸菌で発酵させたものなのですが、厳密にはヨーグルトではないという考え方も。

 

ヨーグルトが属する「発酵乳」は“動物”の乳を発酵させたものと定義されているため、植物性ヨーグルトは「生菓子」などに分類されてしまうのです。

 

とはいえ、乳製品アレルギーをお持ちの方などには貴重な商品。いちジャンルとして、ご紹介させてください。

 

植物性ヨーグルトとして日本で最も流通しているのは大豆原料のもの。豆乳を発酵させたタイプではPOKKA SAPPOROさんの「SOYBIO」シリーズ、大豆をまるごと(うす皮は除く)使用して発酵させたタイプのものではフジッコさんの「大豆で作ったヨーグルト」などがよく目につくようになりました。

 

 

他にはアサイーで有名なFRUTA FRUTAさんからは「ココナッツグルト」、アレルノン食品さんからは「お米のヨーグルト アレルノン」、国分フードクリエイトさんからは「アーモンドミルク ヨーグルト」と、ここ数年で大豆以外の植物原料のものもお目見えし始めています。

 

 

コレステロールフリー、糖質オフ、法定アレルゲン27品目不使用、大豆イソフラボン・食物繊維含有、ビタミンE・オレイン酸が摂取可能など、原料によって魅力は様々。

味も年々おいしくなってきているので、体質や栄養面だけでなく、好みで選んでみるのも良さそうです。

 

 

 

ご当地ヨーグルト

最後に、これは完全に向井の趣味!「ご当地ヨーグルト」というジャンルをぜひ知ってください。

 

日本各地には、地域に根差した乳業メーカーさんが多数存在しています。

 

中にはソウルフード的に愛されている商品もあるらしく、山田乳業さんの「山田フレンドヨーグルト」はまさしくその1つ。宮城県の給食の定番品だと教えていただきました。なんとかわいい・・・

 

 

また、地域の名産品が入ったヨーグルトもご当地ならでは。個人的に推しは丹波乳業さんです。丹波といえばお豆。黒豆や大納言あずきが贅沢に入ったヨーグルトは圧巻です。

 

 

さらには、こんな変わり種も!

マヨネーズと見間違うチューブ入り、岩瀬乳業さんの「楚人冠ヨーグルト」。

“スプーンを使わずに必要分だけ搾り出せるので衛生的”との触れ込みですが、個人的には吸い込みたくなってしまいます

 

 

さらにさらに、と、このジャンルに関してはご紹介したい商品が山のようにあるのですが、とてつもない長さになりそうなので自粛。

 

いつか、ご当地ヨーグルトだけの特集を組まねばですね。

 

 

 

まとめ

いかがでしたか。

目的や気分によって多様な選択肢のあるヨーグルト。

健康を意識して摂るもよし、ご褒美にとびっきりおいしいものを探すもよし、旅先で未知の味にトライしてみるもよし。

ご当地系はギフトセットも充実しているので、敬老の日の贈り物などにもおすすめです。ぜひいろんなヨーグルトをお楽しみください。

 

 

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はじめまして、カップヨーグルト研究会です!

 

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