【あなたと17の約束】ハリヨの柿酢×井上嘉文

【あなたと17の約束】ハリヨの柿酢×井上嘉文

柿と杮。2つの漢字には気がつかないような些細な相違点がある。
柿(かき)と杮(こけら)は、意味が異なる。

 

柿(かき)は「市=なべぶた+巾」で木部五画。杮(こけら)は、つくりである1本の縦棒が、まっすぐ突き抜けているので、木部四画(縦棒がつながる)。筆を執れば気がつく些細な違いなので、フォントでは見分けが難しい。サイゼリヤのトレー上にある「間違い探し」ほど難関である。

 

杮(こけら)は材木を削ったときに出る“木屑”。だから「柿落とし」は、「こけら落とし」と読む。こけら落としは、劇場や映画館などで行われる初めての興行のこと指す。

 

本日、紹介する商品は、岐阜県の富有柿を利用した柿酢(かきす)である。正真正銘の柿を100%使用したビネガー。列記とした発酵食品だ。

 

今年から6次産業化を本格的に開始して販売促進する。
助成金事業の一環で新しいプロモーションを開始する。

 

ハリヨの柿酢は、まさに新しい舞台の壇上に登る節目である。
まさに、柿の杮おとしである。

柿(かき)と杮(こけら)の違いを見抜くポイントは、なべぶたと巾の間に隙間(スペース)。心にも隙間と余裕がなければ、教養は育たない。
柿に、新しい可能性を秘めていると教えてくれた。

 

今期から始まる【あなたの17の約束】。
本日のゲストは「ハリヨの柿酢」。

Not only information, but also emotion.

 

 

完熟柿だけで仕込む天然発酵酢

 

 

『ハリヨの柿酢』シリーズの原材料表示は「海津産富有柿」。水は一切使わず、完熟柿だけで仕込む天然発酵酢である。つまり、発酵時に柿から出る水分のみで、柿の酢はできている。この点が、大変珍しく、想像がつきづらいだろう。

製法のこだわりとして、発酵に適した糖度と熟度の柿を選別する。ここでは、糖度16度以上の完熟柿のみ使用する。産地は、岐阜県海津市産富有柿だけに絞っている地域性のある商品だ。

あんぽ柿に枯露柿。柿はドライフルーツが加工品ではメジャーである。
柿のビネガー(酢)とは…?柿酢づくりの工程では、一度お酒を経てから酢となる。米・カリフォルニアでは、柿からワインも醸造する。

 

 

自然酵母と発酵菌が生きる製法で

 

 

人の手で選別し、種とヘタをとって仕込んでいる。“発酵止め”のために実施する火入れ作業は、しない。酵素は加熱すると壊れてしまうが、「ハリヨの柿酢 生搾り」は、非加熱なので酵素ももれなく摂ることができる。

フレッシュに近い柿の香りも蓋を開けて鼻腔をすり抜ける。他の柿酢よりも格段に薫り高く仕上っている。製造において、人を介する調整は極力控えた弛まぬ努力。自然の酵母や発酵菌が活動しやすい環境に整えることに注力している。写真は、『ハリヨの柿酢 熟成生搾り』のオーソドックスなタイプ。

 

 

現代の暮らしにピッタリのお酢

 

 

柿から連想されるは、柿ポリフェノール(柿タンニン)だ。しかし、抗酸化作用だけが効能ではない。何より、コロナウイルス感染症の影響で、各大学はその抗菌作用に注目しており、話題になっている。

 

 

柿酢は、柿由来の有機酸(コハク酸)もさることながら、アミノ酸は米酢の5倍量ほど含まれている。複雑な旨みがバランスよく整っているだけでなく、暮らしのサポートとして「ハリヨの柿酢」は活躍しそう。 

 

 

『ハリヨの柿酢 フレンチオーク樽熟成』

 

 

『ハリヨの柿酢 フレンチオーク樽熟成』は、洋酒の木製の中古樽に移して2年以上の熟成をすることで、さらに香りが楽しめる設計。柿の特徴により、ワインやブランデーと同じく、年ごとの個性を持つ自然の味、香り、酸味の‟その年の味”が生まれるそうだ。

過去に紹介した福島県の新田商店の「会津納豆」と合わせて、自宅のずぼら飯が簡単に柿酢によって昇華する。『ハリヨの柿酢 フレンチオーク樽熟成』とネギ、納豆の組み合わせで栄養の吸収率UPを実現。

 

 

 

『ハリヨの柿酢 バーボン樽熟成』

 

 

ハリヨの柿酢には、米酢の16倍以上、黒酢の5倍以上のカリウムが含まれている。これは原料の柿に由来するものである。カリウムは、血液中の余分な塩分(ナトリウム)を体外に排出するため、よくドライフルーツやナッツの効能を語るうえでも欠かせないミネラルである。水分調節作用として、フルーツは血圧改善やむくみの解消に効果的である。

ということで、ナッツと大豆パウダーを衣に猪チョップに柿酢を数滴。揚げ物にレモンをかけるように、フリットには大変相性が良いそうだが、私は揚げ物が苦手なので…ロースト料理でON。それでも、十二分に合う。この日は、気分で『ハリヨの柿酢 熟成生搾り』の合がけで。酢(酢酸)の力は、食後の血糖値上昇の緩和、内臓脂肪の減少や高めの血圧の改善などがあげられるので、肉にはいいでしょう。 

 

 

 

『ハリヨの柿酢 シェリー樽熟成』

 

 

むくみ防止にも柿酢はピッタリ。

アミノ酸は、疲労回復・ストレス緩和、肝機能改善などの効果がある。和歌山県と和歌山県立医科大学の共同研究により、柿酢の血圧改善効果は減塩、運動、節酒に匹敵するものだと報告されているそうだ。肝機能の改善効果、免疫力向上など…。たくさんありすぎて、スーパーフードのポジショニングだ。

玄米、ちりめんじゃこ、ほうれん草、ローストガーリック、たまねぎ、にんにく、オリーブオイル、アンチョビ、岩塩、七味唐辛子、乾燥わかめを炒める。最後に仕上げで、シェリーの香りを纏い、胃腸も喜ぶランチに。

 

 

 

ハリヨの意味は?

 

 

「ハリヨ」とは、モチーフとなっているのは岐阜県海津市に生息する淡水魚「ハリヨ」に由来している。

醸造工場のある海津市は、養老山地に降った雨水が扇状地を通り、伏流水となってぷくぷくと水の湧き出す長閑な自然が美しい地域である。ハリヨは、湧き水のある清水地でしか生きられない。今となっては地域資源の荒廃で、天然記念物として認定されている。

ハリヨが生きてきた自然で、生まれた柿酢。美しい水と自然を守る活動に貢献したい気持ちが芽生えた。地域の人たちと一緒に、絶滅の危機に瀕したハリヨを守ること、そして後世に引き継ぐこともコンセプトとしたそうだ。

 

 

柿の種で作られた日本初の焙煎珈琲!

 

 

米菓メーカーの「柿の●」ではなく本物の柿の種から焙煎。

不眠症はストレスの元である。猿蟹合戦の猿は、怒りっぽく、蟹に柿をなげつけて危害を加えてしまった。猿さん、相当ストレスが溜まっていらっしゃるのではないでしょうか。あの猿には、ノンカフェインである『柿の種焙煎珈琲』を薦めてあげたい。

仕事柄、玄米珈琲など様々なノンカフェインの珈琲を飲んできた。
これは、まぎれもなく焙煎技術が日本一ではないでしょうか。

焙煎の度合いが秀逸。苦くない、そして飽きがこない。ただ、眠気はちゃんと夜に来る(笑)

 

 

株式会社リバークレスのつくる責任・つかう責任

 

 

2月末、柿酢を製造する企業、株式会社リバークレスが主催する初のオンラインイベントに立ち合い、私と仲良しのデザイナーが組んで発信する音声メディアの初回ゲストとしてお招きをしたのが取材のきっかけ。(写真左:代表取締役の伊藤さん、取締役の手塚さん)

2007年、伊藤さんは事業開発とITのコンサルティング会社を東京大田区に設立。そして、2012年に故郷の岐阜県海津市に地域事業実施を目論み、本社を移転させた。2016年、柿酢製造販売事業を開始した伊藤社長。

 

地域農産資源の価値を見直して、「環境配慮」×「高品質」×「コスト削減」の循環型社会を目指して地域の活性化にも取り組んでいる。有限である資源を効率的に利用するとともに、循環的な利用(リサイクルなど)を行って、持続可能な形で循環させながら利用していく社会を目指して、ユニークな発想で魅力的な地産商品開発と食スタイルの提案に取り組んでいる。今期から始まった連載、『SDGsのある暮らし』にピッタリ。

 

「天候不良で、生産量に波がある。柿酢の仕込み用に入荷する柿の量が変動的で仕込み作業のためのパートさんの労働力を活かせないときもある。何年やっても自然相手は難しいです。」と伊藤社長。

応援しています。

 

Where to buy ?(販売店情報)

 

 

【EC】
ハリヨの柿酢HPオンラインショップ 
・海津市ふるさと納税返礼品

【首都圏】
松屋銀座本店(グロッサリー)、日本のご馳走えん(新丸ビル店)、日本百貨店(コレド室町テラス店)
日本百貨店しょくひんかん(秋葉原)
【岐阜県】
・岐阜県内道の駅(クレール平田・パレットピアおおの)
・ファーマーズマーケット南濃・海津、GIFTS SHOP(岐阜駅アクティブG、岐阜アンテナ)
・GIFTS PREMIUM(栄オアシス21 、岐阜アンテナ)

他、レストランでも扱ってくれています。

 

 

編集後記

 

 

隣の客は、よく柿食う客だ。

隣の席で、柿ばかり食べている客と居合わせたことがない。
柿料理はイタリアン・フレンチでは、サラダや前菜などで使われることもあるが、よく柿を食う客に出くわすほどは用いられないのだろう。

でも柿酢なら、ご飯に数滴垂らす人がたくさん現れそうな気配。
「ハリヨの柿酢が醤油差しと一緒に飲食店に並ぶ食卓を目指している」と伊藤社長は語っていたのが印象的だった。


イタリアのオステリアでは、EXVオリーブオイルやバルサミコビネガーは食卓に設置されている。自由に使ってよい。


定食屋で、白飯にたくさん純米酢をかけるのが通例行事の私。
白米に酢をかけてGI値を下げたいからだ。


柿酢をかけて、罪悪感から解放されるビジネスパーソンの姿。
そんな新しい日本文化に、ハリヨの柿酢がありますように。


『農山漁村振興交付金(地域活性化対策(活動計画策定事業)』を活用して、柿そのもののブランディングも実行中の伊藤さん。R2年度~3年間の事業だそうで、また岐阜県海津市の特集も組めたらいいですね。

 

文筆家 井上嘉文

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