こんにちは、栄養士・食育栄養インストラクターの片桐佑香です!
【受け継ぎたいばあちゃんの知恵】は、“食の多様化が進む中でも、10年後も20年後も、ずっと受け継がれて行けば素敵だな”と感じる「ばあちゃんの知恵」が詰まった日本の伝統的な“美味しいもの”を、漬物作り・味噌作りなど、手仕事が大好きな私がご紹介していく企画です。
年が明けて少し経ちますが、皆さんは年末年始どう過ごされましたか? 今年は規制がかかり、実家で過ごすことが出来ず残念でしたが、せめて地元の美味しい食べ物だけでもと言って、両親がお餅やりんごを箱で送ってくれたのはありがたかったです。 正月休みは1日だけでしたが、テレビや動画(実は、なわとびダンスで注目のあのグループのトリコ!)を観たりお雑煮を食べたりして、お正月らしくゆっくり過ごすことが出来ました。
そして箱の中には、ばあちゃん家で採れた、旬のはしり「ふきのとう」も。 ふきのとうといえば、どんな料理を思い浮かべますか?私が真っ先に思いつくのはふき味噌です。 ふきのとう特有のほろ苦さと甘辛さがクセになって、ご飯が何杯でも食べられます。
子供の頃、ばあちゃんに教えてもらった料理の一つです。学生時代、お金がない時には、じいちゃんの田んぼで採れた白米とふき味噌でおにぎりにし、お昼ご飯として持って行きました。今でも、家にふき味噌がある時はお弁当に入れて職場に持って行きます。“白米とふき味噌”、たったこれだけなのに十分満足出来る、私にとっての春のごちそうです。
今回は、“ふき味噌”と、ふき味噌のアレンジレシピをご紹介します!
目次
ふきのとうとは?
ふきのとうはキク科フキ属の多年草で、“ふき”の花となる“蕾”の部分です。1月に出始めて、2~3月に旬を迎えます。花が咲くと苦みが増して風味も落ちてしまうので、花が咲く前に収穫します。この花が咲き終わると、土の中から茎が出てきて、煮物にすると美味しい“ふき”になります。
ふきのとうには、むくみ防止に役立つカリウム、抗酸化作用のあるビタミンEといった栄養素が豊富に含まれます。しかし、実はピロリジジンアルカロイド類という毒素も含まれます。少量であれば問題ないといわれていますが、多量に食べ過ぎると肝臓の病気を引き起こす可能性があるので注意しましょう。1度茹でこぼしてから調理するのがおすすめです。
ふきのとうを美味しく頂くポイントは、新鮮なうちに調理すること!時間が経つに連れ、苦み・エグみが増してしまいます。乾燥に弱いので、保存する際はポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室に入れて下さいね。
ほろ苦さと清々しい香りが特徴的で、天ぷら、ふき味噌、お味噌汁、酢味噌和えなどに料理すると、とても美味しいです。
ふき味噌のレシピ
基本の“ふき味噌”のレシピです。たくさん作って置けば、冷蔵庫で長い期間日持ちが効くので、「おかずがあと1品欲しい」という時に、とても重宝しますよ。
ふき味噌の材料(作りやすい分量)
材料 | 分量 |
---|---|
ふきのとう | 120g(中サイズで12個) |
油 | 大さじ1/2 |
味噌 | 200g |
砂糖 | 40g |
ふき味噌の作り方
1.ふきのとうは、傷んでいる部分を取り除いて、根元の硬い部分を切り落とし、粗みじん切りにする。
2.鍋に湯を沸かして1をサッと茹で、ざるに上げ、水気をよく切る。
3.フライパンに油を熱し、中火で②をいためる。味噌、砂糖を加えて混ぜ、水っぽさが無くなるまで炒める。
4.水気が飛んだら混ぜるのを止め、火を強めて軽く焦がしたら出来上がり。
ポイントは、ふきのとうを炒める際、火を通し過ぎないこと。香りが飛んでしまいます。そして、最後に焦げ目を付けるのが私流!ふきのとうのほろ苦さと、味噌の香ばしさがとてもマッチします!子供の頃からいろんなやり方で何度も何度もふき味噌を作ってきましたが、やっぱりこの作り方が一番美味しいと思います。
ふきの肉味噌のレシピ
スタンダードのふき味噌を楽しんだ後は、一風変わったふき味噌にアレンジしてみてはいかがでしょう?素朴なイメージのあるふきのとうですが、最近は春が近くなるとレストランなどで、肉料理のソースとしても使われているようです。 私自身、今までふきのとうと肉を組み合わせたことは無かったのですが、試してみたらとても美味しかったので、こちらのレシピもご紹介したいと思います。
ふきの肉味噌の材料(作りやすい分量)
材料 | 分量 |
---|---|
鶏ひき肉 | 100g |
酒 | 小さじ1 |
ふき味噌 | 70g |
ふきの肉味噌の作り方
1.フライパンを中火で熱し、油をひいて鶏ひき肉、酒を加えて火が通るまで炒める。
2.火を止めて、ふき味噌を加えて混ぜる。
スタンダードなふき味噌よりもうま味や食べ応えが増し、子供でも食べやすい仕上がりになります。こちらもとってもご飯によく合います。こんぶ出汁で炊いた大根やかぶに乗せても美味しいですよ。
私はトロトロになるまで火を入れたかぶに、ふきの肉味噌を乗せて“かぶのふろふき”にして頂きました!冬の冷えた体に、じわっと染み込んでいく味です。
これから続々とスーパーに並んで来る“ふきのとう”。まだまだ寒い日が続きますが、植物たちはもう春に向けて負けじと動き出しています。そんな生命力を味覚で味わい体内へと運ばれた時、もしかしたら自分自身のパワーに替えられるのではないかと思うことがあります。ふきのとうが手に入ったら、ぜひ“ふき味噌”を作ってみて下さい。そしてご飯をたくさん食べ、パワーアップして下さいね!