6月の中旬に梅雨入りした長野県。午前雨、午後雨、一日雨と、晴れ間の少ない天候が約1か月続いた。
雨が多く、気温がやや低めとなる梅雨時期は病気のリスクがとても高くなるので注意していたが、見事にベト病に感染してしまった。
目次
ベト病
ワイン用ブドウ栽培で最も感染リスクの高い病気の一つで、欧州系品種は全般的に弱いと言われている。
(ベト病、晩腐病、灰色カビ病)
葉では落葉中の病斑内で越冬し、越冬した卵胞子は5~6月の水湿を得て発芽、雨風で気孔から感染する。
感染は短時間で行われ、20度で1時間、10度で4時間、5月では感染後10〜12日、6〜7月では4〜7日の潜伏期間を経て発病。22〜24度の夜間の雨で感染が拡大する(暗い方が菌の活動が活発)。
30度以上で菌の活動は停滞する。
葉での被害(1)
葉では初め表面に淡黄色で輪郭不鮮明な油侵状病斑を生じ、裏面には雪白色の毛足の長いカビが密生してくる。
葉は葉裏に気孔が多いので、葉裏からの発病が多い。
葉での被害(2)
病気が進むにつれ、葉裏のカビが広がり、葉全体へと拡大していく。
雨が続いて湿度が高いとベトベトになり、晴天が続くと乾いてパリパリになり、いずれ落葉してしまう。
防除
欧州系品種(主なワイン用ブドウ)は、日本での感染リスクが非常に高いという事実を念頭に、気温が10度以上になればいつでも感染してもおかしくないという意識で対処していかなければならない。
特に、梅雨時期が最も危険な時期である。
基本的にはボルドー液(農業用殺菌剤の一種で、石灰乳に硫酸銅水溶液を加えてつくられる)で予防防除を行う。
感染が拡大してしまった場合は、治療効果のある殺菌剤を使用し、菌の働きを止める場合もある。
滅菌後
発病後すぐに対処できれば軽症で済むが、遅れれば遅れるほど被害は甚大になる。
反省
梅雨時期の病気発生リスクが高い事を踏まえて注意し作業していたにも関わらず感染してしまった・・・
原因としては、大きく二つ。
- 誘引作業の遅れによって、葉の過密集箇所が生まれてしまった。
- 雨が続く中、防除の間隔タイミングが若干空いてしまった。
とても基本的な事を怠るだけで、いとも簡単に感染してしまうという事実を身をもって体験した今年。
ベト病に弱い品種(私の圃場ではシャルドネ種と竜眼種)は特に注意し、対処していかなければならない事を学ばされた。
(写真:滅菌後、新しい葉が展葉し生長を再開したブドウ)
梅雨明けから晴天の続く長野県だが、今後の天候(台風、秋雨)をきっちり把握、見極めながらブドウを見守り作業を行っていきたい。
ブドウは順調にグングン生長している。
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