昨年12月から継続して雪の降り続いている長野県。
地元の方々も「今年は雪多いなー」と、雪かき除雪に苦労しているご様子。
ブドウ圃場は、雪が40〜60cmほど積もり、なかなか思ったように作業が進んでいない状況ではあるが、美しい銀世界の中で淡々と過ごす時間は精神が研ぎすまされていく。
2月中旬より、ようやく剪定の作業を開始した。
目次
ブドウの生理(1)
ブドウ樹は多年生のつる植物であり、本来は野生の植物で、太陽の光を求めて他の植物や支えになるものに絡み付きながら枝を伸ばし葉を広げる性格を持っている。
それを人間が食用/ワインを 作るために利用し、効率よくブドウを作り採集するために様々な栽培の“型”を構築し、剪定という技術を生み出した。
剪定はブドウの本来持っている自然の力を利用しながら、それを制御、コントロールして良い果実を作らせる技術であり、その技術を学ぶには、「ブドウの生理」を理解することが 大切だと言える。
ブドウの生理(2)
ブドウの生理を理解した上で、それを念頭において剪定作業を行う事は非常に大事である。
剪定を行う際には多くの選択(切る枝、残す枝、残す芽と芽数、樹形など)を迫られるが、過去、現在、未来を予測しながら、ブドウ樹にとって最善の選択を取る必要がある。
考えねばならないブドウの生理要素には、以下のようなものがある。
・ブドウ樹(株、枝、芽、幹)
・樹勢
・豊穣性
・頂芽優勢と成長における分枝の相関的関係
・新梢に与える負荷
など
剪定
私の圃場で育つブドウ樹はまだ若木なので、それほど剪定作業は複雑ではないが、ブドウの生理を理解した上で行うに越したことはない。
昨年のブドウ成長具合から樹勢を判断し、今年度どのくらい成長が可能か、どの位の枝を伸ばし実を付けるのが適正か判断する。育った枝の太さや形状、枝数などを参考に判断する。
誘引紐に巻き付いた巻きづるを除去する。
昨年伸びた副梢枝を除去する
樹勢を見ながら今年度の成長を予測し、切る枝の長さを決める
誘引用の番線で固定する
来年に実を付ける枝(結果母枝)を育てる事を考慮し、その位置にある芽は残す(ワイヤーから20cm下付近)
必要のない芽は落としてしまう
シングル・ギュイヨ仕立て
ブドウの仕立てには様々な種類があるが、私は「シングル・ギュイヨ」(片腕の長梢/予備短梢枝)を採用している。
ブドウ樹が冬の眠りから目覚める前に剪定を終わらせなければならない。
雪の中、引き続き急ピッチで作業を行う。
参考資料
日本で唯一のブドウ樹の剪定について書かれた専門書が昨年、念願の発売となった。
「ブドウ樹の生理と剪定方法」
SICAVAC(著/文), 榎本 登貴男(翻訳)
発行/創森社
ワイン用のブドウを栽培する者にとってはバイブル的書籍であり、必見である。まだの方は是非お手にとってみてはいかがだろうか。