2013年 パリ
相変わらず寒さの厳しい季節ですが、日差しのなかに春の気配も感じるようになってきました。
春はもうすぐそこ、という気持ちになると、少しだけ寒さもゆるむ気持ちがします。
私の話になりますが、この季節になると、初めて降り立ったパリで過ごした2月の1ヶ月間を思い出すことがあります。
よく言われることですが、冬のパリは曇りの日も多くて、灰色の雲が垂れ込めているような日も多いのです。
言葉がよくわからない、知り合いのいない街で一人暮らし始めた頃の気持ちと重なるような天気でした。
言葉が通じない国に一人で来ると、まるで子どものようになるということに戸惑いました。小銭の数え方や、電車の切符の買い方まで、イチから慣れることからのスタートです。心が折れそうになることもありましたが、2月の終わり頃に雲の間から陽の光が差すようになると、なんだか希望に溢れる気持ちになったのを憶えています。
そして今の季節に同じように思い出すのが、パリのカフェで出会って大好きになった”シェーブル・ショーのサラダ”。
”シェーブル”は山羊のチーズ、”ショー”はフランス語で”温かい”という意味です。カフェではお馴染みのお料理で、シェーブルの表面にこんがりと焦げ目がつくまで焼いた時の香りは、パリのカフェに漂う香りそのものです。
冷たさを感じるサラダの上に熱々のチーズ。その温かさとこっくりとしたおいしさに安心感や元気をもらえる一皿です。
シェーブル・ショーのサラダのレシピ(2人分)
材料 | 分量 |
---|---|
シェーブル(クロタン・ド・シャヴィニョルがおすすめ) | 1個(60g程) |
パンドカンパーニュ | 2枚 |
>ベビーリーフ | 1袋 |
トマト | 1/2〜1個 |
チャービル | 適量(無くてもOK) |
オリーブオイル | 大さじ1 |
レモン果汁 | 大さじ1 |
マスタード(粒でもディジョンでもOK) | 小さじ1 |
塩・胡椒 | 適量 |
※お好みで蜂蜜 | 小さじ2 |
シェーブルにも色々種類がありますが、おすすめはクロタン・ド・シャヴィニョルというチーズです。
フランスの中央部に近いロワール地方で作られるチーズですが、焼いた時のクリーミーな味わいはやはり格別です。チーズ専門店に行くと手に入ることが多いです。決して安い部類のチーズではないのですが(1個1000円くらいから)、同じロワール地方の辛口の白ワインなどととてもよく合います。
今回は冷蔵庫にチャービルがあったので加えましたが、生のバジルでも。
ハーブの爽やかな風味がサラダに奥行きを与えてくれます。乾燥のタイムやエルブドプロヴァンスを焼く前のシェーブルに少しふりかけるのもオススメです。
作り方は、とにかく簡単です。
ベビーリーフとチャービルは一緒に洗ってよく水を切っておきます。
シェーブルは横に4枚に切り分けます。
シェーブルの匂いを抑えたい人は、上部と下面の皮を薄く削いでおくのをオススメします。
パンドカンパーニュを2つ切りにして、軽くオリーブオイルを振ってからオーブントースターやグリルで両面を軽く焼いておきます。
オリーブオイル、レモン果汁、マスタード、塩胡椒を合わせてヴィネグレットを作ります。
(私はこれに蜂蜜を小さじ2ほど加えて甘く仕上げるのが好きです)
両面を軽く焼いたパンドカンパーニュに輪切りにしたシェーブルを乗せて、シェーブルが溶けて表面がパリッとなるまで加熱します。
トマトを櫛形に切ります。
お皿に盛り付けて、ヴィネグレットソースをかけたら完成。
熱々のうちに、白ワインと一緒にぜひどうぞ。
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お読みいただき、ありがとうございました。