皆様、こんにちは!
ジャケ買いワインソムリエの岩本すずかです。
桜が満開を迎え、軽やかな春の陽気にワクワクする季節ですね。
今回は私が経営するワインショップWine and Weekendの3月の定期便にもセレクトした、このシーズンにピッタリの白ワインをご紹介いたします。
目次
フランス・ロワール地方
フランス北西部に位置するロワール地方。中でもロワール渓谷には中世からの古城が点在し、2000年にユネスコ世界遺産に登録されるほどの風光明媚な景観を誇ります。
この地に流れるフランス最長の川、ロワール川流域には素晴らしいワイン産地が広がります。
大西洋へと注ぐ河口から順に、4つの産地に分けられています。
(1)ペイ・ナンテ地区
(2)アンジュ・ソーミュール地区
(3)トゥーレーヌ地区
(4)サントル・ニヴェルネ地区
それぞれに土壌や栽培されるブドウ品種が多様で、土地の個性を楽しむことができます。
ミュスカデ種100%の白ワイン
「春らしく軽やかな」をテーマにセレクトした白ワインがこちら。
「ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ シュール・リー “ドメーヌ ドゥ ラーデネール”」
ドメーヌ・ゴベン・フレール
2134円(税込)
なんとも舌を噛んでしまいそうなワイン名ですね(笑)。
産地はロワール川河口に近いペイ・ナンテ地区にある、「ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ」。
ブドウ品種はミュスカデ種100%で、とてもフレッシュでスッキリとしたタイプです。
このワインを造る生産者とは、どのような方々なのでしょう。
4代に渡るワイン造り
ナント市から南東に約20キロの土地にワイナリーを構える、1904年設立の「ドメーヌ・ゴベン・フレール」。
創設者はアンリ・アーネスト・ゴビンさん。当時はわずか1haの畑にミュスカデのブドウの木を植えたことから始まりました。
2代目はアンリ・ゴビンさん。この頃には畑は6.6haになったそうです。そのためミュスカデ以外にもコロンバールなど様々な品種を植え始めました。
当時は畑の手入れに馬を使い、そしてブドウの手入れも全て手作業です。
彼らのモットーは、「早く剪定し、遅く剪定し、3月の剪定に勝るものは無い」というもの。
通常、ブドウの木をハサミで剪定する作業は冬の間に行います。しかしこのゴビン家の熟練した職人さんチームは早めにスタート。ブドウの実を収穫した直後の10月くらいから始め、そして冬の間ももちろん剪定し、そして3月まで剪定することに勝るものは無いと言います。
畑仕事に対する丁寧さと情熱が感じられますね。この事は現在でも守られ、実践されているそうです。
アンリさんは時代が時代でしたため戦争に動員されますが、その間5年間は妻のマリーさんがワイナリーを仕切っていたそうです。
3代目はお二人の息子さんのダニエルさん。
畑をさらに拡張して、トラクターを購入したり新しいセラー=保管庫を建てたり、また直接的にお客様に販売してゆく、ということを始められるなど、近代化を推進しました。
現在は4代目のクリストフとセドリック兄弟が運営しています。
どんどん畑を買い足して、現在では3箇所に合計60haを所有しています。
先ほどの「ブドウの剪定においてとても時間をかける」というお話の通り、彼らが心がけるのは「愛情を込め、真面目に丁寧な仕事を貫くこと」。気象測候所の協力を得て、ブドウの減農薬栽培も実践しています。
このワイナリーは家族経営と小規模ではありながら、色々なコンクールで高評価を獲得している点が特徴です。
例えば「パリ農業コンクール」。
これはフランスの農水省主催、130年以上の歴史があります。そして誰でも出品できるのではなく、審査員が直接ワイナリーへ足を運び生産者の哲学などを聞いた上で、コンクールに出品するに値すると判断された物だけサンプルとして提出を認められます。
さらにその中から、毎年1万点以上出品されるワインを全てテイスティングし、金賞に選ばれるのは僅か8%という、非常に厳しいコンクールです。
こちらにおいて、もはや常連と言われるほどの輝かしい実績を残しています。
3月にオススメの理由とは!?
さてワイン名にも記された、今回の注目ポイントである「シュール・リー」。
「リー」というのは日本語で「滓(おり)」、ブドウの成分のカスのようなもの。「シュール」は「上に」。つまり「滓の上」という意味になります。
これは白ワインを造る時の技の一つでして、ワインの醸造の過程で出る滓を、あえて取り除かずにタンクの底に残した状態でそのまま放置し保存しておくのです。
(イメージ)
期間はアルコール発酵してから最短でも翌年の3月1日まで、その状態で保存しておかなくてはいけないと決められています。
すなわち一冬は置いておき、瓶詰めされる時まで滓を取り除かない(滓引きしない)という技法を「シュール・リー」と言います。
これによりタンクの中で滓が非常にいい仕事をし、旨味がどんどん出てきてとてもフレッシュ、酸味も生き生きとした軽やかな白ワインが出来上がります。
「最短でも3月1日までは滓と共に保存しておかなくてはいけない」ということ、また同時にこの季節は日差しも暖かくなってきて、このような軽やかな白ワインが似合う季節ということで、3月の定期便にセレクトしました。
このワインは味わいの方も優秀、「パリ農業コンクール」で金賞や銀賞を度々獲得しているほどのお墨付きです。
合わせたいお料理は?
このフレッシュさが魅力の白ワインは、どのようなお料理に合わせるのが良いでしょう。
生産者のオススメは、「魚介類などのサラダや前菜、フルーツ」。
そして先日は自宅にて、お寿司と一緒に頂きました。
シュール・リー製法の滓からくる旨味が、お寿司とよく合います。この季節ならハマグリやアサリの白ワイン蒸しや、また出汁を感じるような和食、例えば豚肉と白菜のミルフィーユ鍋などもマッチするでしょう。
季節を感じるワイン選び
軽やかな季節には、軽やかなワインを。季節に合わせた料理やワインを選び、ライフスタイルの中で食を楽しみたいですね。
ご紹介したワインは、当店実店舗にてご購入いただけます。
【ジャケ買いワインのセレクトショップ Wine andWeekend】
東京都中央区日本橋蛎殻町1-6-9-103
03-6661-1845
https://wineweekend.theshop.jp/
解説動画
『第10回Wine Clubオンラインプチセミナー』
https://youtu.be/T_zvsK-YV48
※文中使用した写真は、ワイナリーHP、輸入元株式会社ヴィントナーズ様HPより引用させて頂きました。