【はちみつマイスター信田・教えてハニーvol.3】単花蜜と百花蜜って?

こんにちは。日本はちみつマイスター協会認定講師の信田です。

ハチミツのラベルで「単花蜜、百花蜜」って見ることがあるけど何のことかな。

単花蜜は、ひとつの花の蜜だけで、百花蜜は100種類の花の蜜が入っているのかな。

100種類が一度に味わえるなんて贅沢!!

いえいえ、それは違います。

ミツバチの飛行距離は2～3km

世界にはいろんな種類のミツバチがいますが、行動範囲は2～3kmといわれています。ミツバチたちは、自分たちの巣から飛べる範囲で花の蜜を集めるのです。その範囲に咲いている花の種類がハチミツの名称になることが一般的です。

アカシア、マロニエ、向日葵、そば、栗、エスパルセットなど数えきれないほどの種類です。養蜂家は、花の蜜を集めることが出来る花のことを「蜜源」と呼びます。

エスパルセットの花と蜜蜂

単花蜜を名乗れる基準は?

単花蜜は、ほぼ1種類の花の蜜から集めたハチミツのことを指していますが、名乗っているお花の蜜が100％になることは、あり得ません。なぜなら、ニンゲン社会でもそうですが、ミツバチの社会でもみんなと同じことをしたくない個性派もいるからなのです。

海外の基準を調べてみたらロシアでは30%を超えるとその花の名称を名乗れます。EUでは、45%を超えるとその花の名称を名乗れます。世界では手軽に分析してくれる機関があるので商品にするときに活用されるこの数字は、ハチミツに含まれる花粉の量を分析しています。ジェベックジョルがお届けしているキルギスのエスパルセットハニーは、86％という驚異的な数値が報告されています。

キルギスのエスパルセットの分析表

花粉??　なんのこと??　花粉とハチミツって関係あるの?

ミツバチは花から花をまわるときに花粉を体中に付けて花の交配を助けています。ですから、花から吸いとった蜜には花粉がたくさん混じります。ハチミツの花粉分析量を測定することで蜜源植物の種類と含有量が分かるのです。残念なことに日本は、単花蜜を名乗れる数値基準もなく手軽に分析してくれる機関もないのです。植物の種類が世界トップクラスの日本なのでハチミツの種類も豊富なはず。日本が世界水準に追いつくためにも、早く分析機関が登場してくれるといいですね。

百花蜜は、何種類？

蜜源にいろいろな花が咲いている場所に置かれた巣箱で活動するミツバチは、さまざまな種類の花の蜜を集めてきます。花の種類が特定できないハチミツを百花蜜と呼びますが、100種類もあるわけではありません。とってもたくさんという意味です。

どこまでも続くエスパルセットのお花畑

単花蜜と百花蜜、どちらが美味しいの?

マルシェなどでもお客様からよく聞かれるのが、花の種類と単花蜜か百花蜜なのか、です。日本が単一民族のせいなのか、純粋や血統書が好きな気風なのか、単花蜜を高級品と感じているようです。

実は、それぞれに異なる味わいとカラダへの効能があるので一概にどちらがいいとはいえません。百花蜜は、たくさんの種類のお花の蜜が混ざり合って深い味わいが楽しめます。

私は、キルギスの養蜂家が標高2,500ｍ以上の高原にミツバチを連れて行って3週間ほどキャンプして採取するマウンテンハニーが好きです。標高が高いところなので高山植物が蜜源。しかも7種類ほどのお花の蜜なので口に含むと、次から次に未知の香りが登場します。高山植物＝ハーブなのでブルーチーズに合わせると絶品。さらに喉や口のケア口臭予防も期待して就寝前の歯磨き後にひとさじを食べてます。おかげで、医者イラズ。朝まで口の中がスッキリして心地よい目覚めです。

ハチミツの味わいは、お花の種類、その年の気候、産地とミツバチのご機嫌次第です。工業製品ではないので、一期一会。二度と同じ味わいには巡り合えないのです。お好みのハチミツに出会えると、しあわせですね。