2014年 パリ
目次
フランス人はモノを買わない?
フランス家庭料理研究家の竹本です。日常に取り入れて楽しめるフランスの家庭料理や生活文化をご紹介しています。
フランスの文化に少し馴染みがあるとよく聞かれるのが、「フランス人はモノを買わないって本当?」という質問です。
他の国の価値観にはあまり詳しくありませんが、フランス人があまり買い物をしない、というのは確かにその通りに感じます。ただ全く買わないというわけではなく、フランス語でソルドと呼ばれるセールの時期にはしっかり買い出しをします。
面白いのがフランスには年に2回のセール期間をきっちりと決めた法律があります。
少なくとも1ヶ月前の価格から10%は値引きをしないと、ソルドの表記ができないという徹底ぶり。
服やバッグだけではなく、シャンプーやリネンのような日用雑貨も安くなるので、この時期にまとめ買いをすることができます。
品質の良いものを手頃に手に入れるチャンスが年に少なくとも2回あることで、普段はあまり買い物をしない、という一般の人は少なくない印象です。
ソルドはフランス人にとって楽しみなお買い物のタイミング。
人気のお店はとても賑わいます。
そうして浮いたお金はどこに・・・?
どうやら1年に一度のお楽しみの「バカンス」や、「毎日のちょっとした贅沢」に充てられているよう。
両方に共通して言えるのは、「人生や暮らしを豊かにして、すばらしい思い出を作る」ことに価値が置かれているということ。
私のフランスの友人がよく言うことに、「モノを手に入れた喜びはすぐに忘れるけれど、思い出は何度も心を潤わせてくれる」という言葉があります。
バカンスで訪れたイタリアの島の美しかったこと、皆で囲んだクリスマスの食卓の温かさ、またまたおめかしして行ってみた5つ星ホテルの朝ごはんの贅沢なこと・・・
こんな「思い出」を作ってくれる「経験」には、彼らはお金を惜しまない、とは言わないまでも、価値を高く置いています。
そしてそんな「思い出」を思い起こさせてくれる「モノ」を、とても大切にします。
人生を一緒に歩む「相棒」として、服や小物、食器や家・・・あらゆる生活に関わるものに愛情を注いでいる。そんな印象を持っています。
パリに滞在した頃、憧れのカフェでクロワッサンを。忘れられない経験です。
だから、モノを多く持つことが豊かさには直結しない、という価値観が生まれるのかもしれません。
また新しければその方が良い、というわけでもないようです。長年の相棒として長く愛せるモノを使っている人もいます。
パリやリヨンの街角では、年季の入ったバッグを持っているマダムをよく見かけることがありましたが、デザインや形がどんなに前のものでも、古さを感じさせるどころか本人の貫禄や余裕と相まって「ヴィンテージ」の凄みを感じて記憶に残っています。
つまるところ「フランス人はモノを買わない」という噂の実際は、「そのモノは人生を彩るか」そこに価値を置いて選んだところ、買うものが自然に少なくなり、モノが長生きするフランス人のライフスタイルの結果なのでは・・・と私は感じています。
日本でもこのところ若い世代を中心に、リサイクルしたファッションアイテムや、親が使っていたバッグや小物をクローゼットから見つけてきて、身につけるオシャレが当たり前のことになってきています。
トレンドやメディアの評判や単純な見た目の美しさを追求した消費は、誤解を恐れずに言ってしまえばもう「時代遅れ」の感もあります。
サステナブルという固い言葉を使うまでもなく、モノを選ぶ基準が「心地よいかどうか」、「長く愛せるかどうか」、そんな自分軸になることで、前時代的な大量消費は少し過去のものになってきたのでは・・・私はそう考えています。
寒くなってきたこの季節に・・・
今回のレシピは「スフレ」。長く愛されてきて、絶対に無くならないであろうフランス家庭料理の定番です。
しょっぱい“サレ”と甘い“シュクレ”がありますが、今回はしょっぱい方。
肌寒くなってきた今の季節に食べたいキノコを使ったレシピです。
フランス生まれの冷凍食品専門店「ピカール」で手に入れたキノコのミックスを使います。
フランス産のキノコ4種類とパセリ、エシャロットをバターでソテーにしたミックス。900円くらいで買えます。
買い置きしておくと、パスタやオムレツに便利!
きのこのスフレ・サレのレシピ(耐熱容器2個分)
材料 | 分量 |
---|---|
卵 | 3個 |
牛乳 | 50ml |
バター | 20g |
ピザ用チーズ | 20g |
薄力粉 | 20g |
ナツメグ | 適量 |
冷凍きのこミックス | 適量 |
つくりかた
冷凍きのこミックスは電子レンジで解凍して、一口大に切っておく。
耐熱容器の内側に薄くバターを塗っておく。
バターを小鍋に溶かし、少し泡立ってきたらふるいにかけた薄力粉を加えてペースト状になるまで混ぜる。
牛乳、ピザ用チーズを加えてよく混ぜ合わせる。
解凍したきのこミックスのドリップを加える。
粗熱を冷ましてから卵黄を加えてよく馴染ませる。
このタイミングからオーブンを210℃に予熱を始める。
耐熱容器に解凍したきのこを敷き、卵白を硬めに泡立てる。
メレンゲを鍋に加え、さっくりと混ぜ合わせる。
210度に予熱したオーブンで15〜20分焼いて出来上がり!
ふんわりシュワシュワ食感が癖になる!冷めてもしっとり美味しい一皿です。
週末のブランチにぜひどうぞ。