【フランス流 心と体と地球にやさしい食卓Vol.5】ホリデーシーズンに!魚のあらでほっこりブイヤベース

【フランス流 心と体と地球にやさしい食卓Vol.5】ホリデーシーズンに!魚のあらでほっこりブイヤベース


2014年12月パリ

年末年始は慌ただしくも楽しい季節。それはフランスでも一緒です。
そして1年で1番環境問題に注目が集まるのもまた、年末かもしれません。

フランスでも年末年始は家族と一緒に過ごす大切な時期です。
家族が集まる場所といえばご馳走が並ぶ食卓ですが、フランスの年末年始に欠かせないのが生牡蠣、フォアグラ、チョコレートなどです。
毎年フランス家庭のご馳走として人気のこれらの食材を題材に、気候変動やアニマルウェルフェア、フェアトレードの話題がしきりにメディアで話され、討論されているのを見かけます。

10年くらい前になりますが、クリスマス真っ只中の12月24日か25日、おそらくフランスで一番フォアグラが消費される日に、フォアグラの肥育についてTVで特集されていたのは驚きました。内容はフォアグラの肥育にもアニマルウェルフェアを意識した方法があるので、きちんと選んで買おう、というような内容だったと思いますが、食卓に並ぶものがどのように作られているか、関心が高まるこの時期に伝えるというのはインパクトが強く記憶に強く残りました。

ちなみに今年見かけたエコの話題でとくに今年らしいなと感じたのが、「チョコレートのパッケージの是非について」
フランスではこの時期に色々なチョコレートブランドがホリデー仕様のパッケージを発表しますが、バラバラにして1つの商品に使われる紙箱やプラスチックの量を改めて確認すると、商品全体の重量のじつに1/4が包装資材という商品がありました。
改めて実際に消費する部分と捨ててしまう部分を目の当たりにすると、2022年に世界中で問題になった資材やエネルギーの不足のことを思わずにはいられませんでした。

 

フランスでは2023年の1月1日から、ファストフード店のイートインでの使い捨て紙容器の提供が禁止されて、洗って使えるプラスチック容器に変わります。
2040年には使い捨てのプラスチックをゼロにするという目標もあるフランスなので、ここ数年の変化はかなり急進的です。手探りの部分もあるはずですが、とにかく変えるべき方向を定め、実際に変わっていく推進力には習うところがあるのではないでしょうか。

 

 

寒い季節にあったまる。ブイヤベースは海のエコ料理

 

 

有名なフランス料理の一つに「ブイヤベース」があります。

南部のマルセイユで生まれた魚介料理ですが、この料理はもともと漁師の「賄い飯」的な料理でした。傷ついて売り物にならない魚や、市場で値段の付かない魚を海辺でハーブなどと一緒に海水で煮て作った庶民的な料理でしたが、時代を経るごとに料理人が洗練を加えて今の形になりました。

本場のマルセイユには「ブイヤベース憲章」という「ブイヤベースがブイヤベースたる条件」があります。伝統の味を守るために作られたルールですが、南仏の魚を何種類も使って作るのが本場の味。そのためマルセイユでブイヤベースは一般的に高級料理です。さながら日本の寿司のように、時価で提供する店もあるほどです。

ただ、先に書いたようにブイヤベースのルーツは、捨てる魚を美味しく食べる工夫から生まれた料理です。魚のあら、足の取れた蟹、頭の取れた海老といった食材を無駄なく美味しく食べる料理として、家庭で楽しむのもまた素敵で大切なことではないでしょうか。とくに今、海の資源は世界中で貴重なものになりつつあります。
今回は鍋に使う海鮮食材のあらや半端な鍋用の魚介類が手に入ったので、今の季節に食べたい、「日本ならではのブイヤベース風スープ」に仕上げようと思います。
お味噌汁を作るように簡単なレシピにしました。

 

 

冬の魚介のブイヤベースゆず風味(2人分)

 

 

材料 分量
魚のあらや寄せ鍋用の魚介類 1kgほど
トマト缶(ダイスカット) 1カップ
玉ねぎ 大1/4個
ねぎ 5cmほど
セロリの茎 15cmほど
ニンニク 1個
ゆず 1/2(皮の部分を使用)
サフラン ひとつまみ
スターアニス 2片
ローリエ 2〜3枚
フェンネル 小さじ1/2
スカイエンペッパー 小さじ1/4
パセリ(乾燥) 小さじ1
白ワイン 100ml

 

 

今回は寄せ鍋用にセットになったホタテや蟹やエビ、魚のあらを使いました。
魚はタラと鯛です。
エビの砂袋は抜いて、魚のウロコはきれいに取っておいてください。

 

 

ゆずを使うのは私のオリジナルです。意外とスパイスと相性が良い食材です。
皮の部分を剥いておいてください。

 

つくりかた

 


玉ねぎ、ネギ、セロリ、ニンニクをみじん切りにしてオリーブオイルで中火で炒め、しんなりしたらトマト缶も加えて軽く炒める。

 

 

スパイス・ハーブ類を全て加え、魚介類をきれいに並べて加える。白ワイン、塩を加えて、ひたひたになる量の水を入れる。ゆずの皮を入れて最初は中火で煮立たせ、煮立ったら弱火にしてコトコト10〜15分煮込む。

魚の身がホロホロと崩れるくらい煮込まれたら、少し強火にしてスープを軽く煮詰めて完成。
同じ南仏のルイユというソースを合わせるのがオススメです。
ルイユは卵黄1個、すりおろしニンニク1個分、ディジョンマスタード小さじ1、オリーブオイル大さじ2〜3杯をマヨネーズの要領で混ぜ合わせて出来上がり。

 



パンにルイユをつけてブイヤベースのスープと一緒に召し上がれ・・・!
鍋のようにほっこり温まる魚介スープです。

 

フランス家庭料理研究家
竹本ともこ

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