「人間の本能には、食欲、物欲、性欲などの他にも表現欲がある。表現欲を抑圧されると、自死や他者への攻撃になる。商品にも表現欲がある。どんな商品でも、存在している以上、表現されたがって、うずうずしている。だから、商品には広告費(表現費)が自ずとある。」
(引用:『私の美術散歩 広告からアートへ、民から官へ』/著・若林覚)
このemotionalなフレーズは、長野県でキノコを製造する数少ない生産者を連想する。
きのこは、成分として、なんといっても
- グアニル酸
- グルタミン酸
が豊富であるため、旨味を抽出するのには最適な食材。
まさに“無添加の旨味エキス”であり、私の無添加調理には欠かせない食材の1つである。
しかし、きのこ生産者を支援している中で、総じて浮き彫りになる産業の課題が「USPを発見するのに苦労する」こと。きのこは単価も安く、広告の費用対効果が薄い。冬商材のきのこは相場価格が安定せず、夏場は一気に価格が落ち込む。そのため、きのこ生産者は夏場の利益確保にあたり、加工品開発などに必死となっている。
「きのこって地味だよね~」。華やかな世界で生きるインスタ映えするスーパーフードたちから、後ろ指を指されるのは、もう慣れっこ。でも当のキノコたちは、ものすごく表現されたがって、うずうずしている模様。
それではemotional tribeが、きのこの素敵な魅力をお届けして煎じよう。
JA中野様の全面協力により、きのことたくさん対峙した。今月は、【信州きのこ】のある暮らし。
Not only information, but also emotion.
目次
軸が何本も重なって生育する、「えのき茸」
『乾燥えのきと大葉のキムチサラダ』
笠が開ききらないもので、白色でつやがあり、香りも味も優れたメジャーきのこが、えのき茸だ。
収穫してからも成長するので、新鮮なものを早めに食べることをおすすめしたいが、実は裏・調理法がある。
“乾燥えのき茸”を作れば、栄養の吸収率UP
実は乾燥すると栄養素を吸収しやすくなる。
もともと発ガン抑制物質に期待できる
- β-グルカン
- ビタミンB1
- ビタミンB2
が多く、ビタミンDの効果をもつ「エルゴステロール」を含むえのき茸、できればもれなく体に摂り入れたい。
こちらの写真は、天日干しで1日干したもので、見出し下の写真は、さらにオーブンで焼いたもの。旨味が凝縮されて、つまみにも最高だ。
こうして保存しておけば、2日酔いで家に戻ったときに、ひとつまみして、オルニチン補給になる。
最大派閥の「黒あわび茸」と牡蠣に似た「ひらたけ」
黒あわび茸は、亜熱帯地方で取れる温暖な気候を好むきのこで、えのき茸とは間逆な環境で栽培。
中国・台湾、国内では沖縄県、滋賀県などで栽培されるが、収量が少なく、まだまだ珍しいキノコ。
独特な「あわび」の様な食感がある。ヒラタケ科であるため汁物にも合うが、今回は兵庫県の南あわじの猪豚と合わせた。
ひらたけは、牡蠣に似ていることから欧米では「オイスターマッシュルーム」と呼ばれる。
黒あわび茸と比べしっとりとした食感で汁物がおすすめとされるが、このように香りと風味を肉に馴染ませても楽しめる。
苦味を感じない茸の王道、「ぶなしめじ」
うま味が増して料理映えし、苦味を感じない「きのこ」。
うま味成分であるグルタミン酸やアラニンを従来のきのこよりも多く含むため、ほのかな甘味がある。
JA中野さまのきのこは、苦味成分とされるテルペン類が、1/3以下でマイルドになっているそう。
発ガン抑制物質として期待されるβ-グルカンも従来の数値より約3倍というのが驚き。株がほぐしやすく、調理が簡単な万能きのこで、誰からも親しみやすい。
信州きのこの共演。贅沢すぎる「きのこ汁」を作ってみた
信州きのこのオールスターと無添加の味噌だけでつくる、きのこ汁。
きのこ汁は、栄養素がすべてスープに溶け出しても、隈なく頂けるので、大好物である。
きのこから出汁がでて、旨味があるので、もはや何かを追加するのことは野暮。味噌以外、何も足さなかった。
素焼き定番だが、スープにも合う「エリンギ」
エリンギは、BBQや串焼きのド定番で、歯ごたえは病みつきになる人も多いのではないか。
他のきのこと比べて糖分(トレハロース)が多く含まれているので、これがスープでも相性がいい。
ビタミンB1、ミネラル、食物繊維も豊富で、純粋炭水化物よりも断然にヘルシーなので白〆のラーメンの代わりに、きのこ汁はいかがだろう?
今月のタイアップ:中野市農業協同組合(JA中野市)
編集後記
これまで6次産業化プランナーとして和歌山、高知など全国のきのこ生産者を支援してきた。
また、2018年は「きのこの里」で知られる北海道愛別町の産業振興プランナーに就任した。そのせいかキノコにまつわる案件も増えて、今月は冷蔵庫も冷凍庫もキノコだらけだった。
「実は、仕事の関係で大量に家にキノコがあってさ…」
食事会でのひと時。私の台詞に思わず振り返る見知らぬ女性が数名。なるほど。「信州きのこ」とハッキリ言わないといけなかった。
皆さんも、きのこを語る際は、地名を前につけると語弊を招かないのでお勧めする。
今回の執筆では、きのこの正しい伝え方を学べたので、感謝している。
皆さんも、素直な「好き」を大切に。
emotional tribe代表 井上嘉文
#emotionaltribe #無添加食品プロデュース
“素直な好き”をカタチにしたストーリーをどうぞ!
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