こんにちは!旅する料理家の堀池です。
今日は、お料理の「盛り付け」についてお話ししたいと思います。
実は私、「料理の何が一番好き?」と聞かれたら、間違いなく「盛り付け」と答えるほど「盛り付ける」作業が大好きです。
作っている時間や食べている時間も楽しいのですが、「盛り付ける」というプロセスは、料理人にとって一番輝く!?瞬間だと思うのです。
そんな「盛り付け」ですが、消極的な方も多いのではないでしょうか?
料理教室では、「私、盛り付けのセンスがないんです~!」と生徒さんがおっしゃるのをよく聞きます。
いざ盛り付け!という段になると、自信のなさから皆さん譲り合って盛り付けが進まないこともしばしば。まずは、先生(私が)お手本を~ということで一皿は盛り付けて、あとは各自、ご自身の分を盛り付けて頂くのですが、同じ料理で同じお皿に盛り付けていても、正直全然違って見える!(笑)ということもあるのです。
では、その盛り付けの違いとは何から来るのでしょうか?
せっかく頑張って作ったお料理。さらに美味しく食べたい、食べてもらいたいですよね!?
今日は、知っていると応用できる盛り付けの極意をご紹介します。
洋食、和食などジャンル問わず盛り付けの極意は同じです。楽しく、気負わず、気軽に真似してみてくださいね。
目次
盛り付けの極意①「何はともあれ器選び!」
突然ですが皆さん、初めて会う方の印象って何で決まりますか?
顔の造作?身長の高さ?それとも声?
第一印象の大きく占める部分に「服装」があると私は思うのです。
どんなファッションに身を包んでいるのか?ゆるく大きめのジーンズにだぼっとしたトレーナーなら、カジュアルでリラックスした雰囲気に(もしくは少しだらしない印象かも!?)
逆に、タイトなパンツにのりの効いたシャツなら、少しフォーマルな雰囲気に(もしくはオシャレな印象かな!?)ですよね。
料理も一緒です。盛り付けてある料理をその人物に例えるなら、器はファッション。
料理の第一印象は、ほぼ、器で決まります。美味しそうに見えるか?まずそうに見えるか?はどんな器に盛られているのか?でほぼ決まります。
100均で買った小鉢に入って出てくるのか?(けして安いのがダメ!というわけではないですよ。こちらは後で後述します。)それとも、旅先で見つけた気に入った作家さんの小鉢に盛られて出てくるのか?
目をつむって、同じほうれん草のお浸しが、上記の各器に盛られているのをイメージしてみてください。美味しそう!と思う気持ちが違ってきますよね。
人間は、五感(視覚、嗅覚、触覚、嗅覚、味覚)を使って美味しい!と感じますが、美味しい!と感じる際に使われる五感の割合は、なんと視覚が87%なのだそうです。対する味覚はたったの1%!(嗅覚が2%)かなり衝撃的な結果ではないでしょうか?
つまり、私たちが日ごろ「美味しそう!」と思うのは、ほぼ9割が見た目で判断しているということなのです。
というわけで、何はともあれ大事なのは器選び!ということが分かったところで、では、実際にはどんな器を選ぶのが良いのでしょうか?今日は、洋食器を例にお話をします。
器選びは「ときめき」を大切に
器の選び方をご紹介する前に、少し若かった昔の私のお話。今から20年前、結婚して、どんな器を買うべきか?迷いました。
新婚時代はロンドンに居たので、向かったのはウェッジウッドのB級品ばかりを扱うお店。日本では高いウェッジウッドでも、少し傷があるという理由だけで、数百円という安さで売られています。
好みとしては、可もなく不可もなく「まあ悪くないか…」程度の白いお皿のシリーズを見つけました。若くてお金がない身。とにかく安さが嬉しくて、サラダ、スープ、ディナープレートと揃えました。
ここで大事なのが、必ず「自分が好き!」で器を選ぶこと。自分が気に入ったものであれば、高級食器である必要はないと思います。例えばそれがフリマで買った食器だとしても、一目ぼれしたものなら、きっとずっと使い続けますよね。要は、使うときに「ときめき」があるかどうかがポイントです!(こんまりさんのお馴染みのセリフですね。)
昔の人は、器に家紋を入れ、その形にぴったり合う木の箱をしつらえて、祖父から孫へ、大事に器を使いました。
割れたら捨てずに、金で継ぎながら代々使い続けます。そのくらいの気持ちで、大好きな器を見つけて大事にずっと使っていけば、毎回使うたびに心からの「ときめき」と「喜び」が湧いてくるのではないでしょうか?
さて、私の話に戻ると、安さに目がくらんで買ったB級ウェッジウッド。これは今も捨てるに捨てられず使っていますが、使うときの気持ちは未だに「可もなく不可もなく~」のまま(笑)
本当はリチャードジノリの白シリーズが欲しかったなぁ~なんて今も思います。今更もう、揃えませんがね。若い時の思い出の品を大事にしたいと思っています。
美しく見える皿の色:白
食器選びと同様に、センス良く盛り付けるには器の色も重要です。
白の洋食器は無難で、どんなシチュエーションでもオールマイティに使えます。
サラダ、ディナーと揃えれば、重ね使いをして統一感と高級感を出すことも出来ます。
美しく見える皿の色:黒
最近は黒のプレートが人気を集めています。
黒は引き締まった色なので、料理を際立たせる効果があります。
美しく見える皿の素材:ガラス製
ガラスの器は、大陽の光やキャンドルの明りにきらきらと輝くので、テーブルに軽やかさや華やかさを演出してくれます。
夏の暑い盛りに、器で涼しさを演出することもできます。
さて、料理の美味しさは見た目が9割ということで、“ときめく器”を揃えられたら、今度はいよいよ盛り付けのお話に移ります。
盛り付けの極意②「盛り付けにアクセントを加える」
盛り付けのポイントその1「彩り」
盛り付けに、色の三原則を使います。お弁当でもそうですが、赤、黄、緑が入ると美しく美味しそうに見えますよね。
おせち料理が華やかに見えるのは、かまぼこの紅白、昆布の黒、ばらんの緑、伊達巻の黄色と5色が揃うからです。とはいえ、毎度の家族の食事に5色はおろか、3色盛り付けるのは至難の技です。
私がおすすめするのは、まずは+1色(別の色)を足すこと。煮物なら上に小口葱を散らす、三つ葉を散らす。白いスープなら上にクルトンを散らす。
下の写真のお肉(茶)とレンコン(白)の炒め物に銀杏(黄色)が入ると、ぐっと料理が引き締まって見えませんか?さらに、貝割れ菜(緑)のトッピング。銀杏と貝割れがないものを想像すると見た目の美味しさが全然違いますよね。
盛り付けのポイントその2「高低差をつけて盛る」
のっぺりと平たく盛り付けるよりは、山高に盛り付けるほうが美味しそうに見えます。
炒め物でも揚げ物でも、菜箸を使って、上に、交互に積み上げるイメージで盛ると、立体感が出て美味しそうに見えます。
パスタはフォークにぐるぐるにパスタを巻き付けて、フォークを器の上で立ててすっと抜くと、縦長のパスタに盛り付けられます。
盛り付けのポイントその3「飾りを使う」
刻んだハーブや紫蘇、みょうが、赤いペッパーコーン、粗びき黒コショウなど、最後にお皿の余白や料理の脇、てっぺんに添えると、華やかな盛り付けになります。
写真は塩麹豚の蒸し煮ですが、全体的に茶色の料理。
レモンスライスを敷いて上に赤いペッパーコーンを載せるだけで、一気に美味しそうに見えませんか?
いかがでしたか?盛り付けのセンス。
ときめく器に、盛り付けのルールを守って盛り付ける!そんなに難しくはないと思います。
ぜひ明日からの食卓に活用し、豊かな食生活を送って下さいね。
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