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帰国して感じた飲食業界
2017年の冬に日本に帰国し、仕事を始めて感じた飲食業界は、タブレット、インカム、ハンディーなど注文管理、POSレジとの連動によりオペレーションが良くなったお店もありますが、私が働いていた頃とあまり変わっていないお店もまだまだありました。
そして、実際にITが導入され在庫管理や発注業務が色々と簡素化されている店もありましたが、それにかかる費用対効果を見て導入するに至っていないお店も多く見かけました。
インバウンド向けの飲食業界はどうなったのか見てみると、観光立国基本法が2006年に制定されすでに10年が過ぎていましたが、ビーガン対応のお店、ハラル対応のお店、アレルギー対応のお店などがあまり見かけずネットで探しても中々ヒットしませんでした。
ビーガンの友人が日本に遊びに来るという事で、お店を探したときは、本当に苦労しました。ようやく見つけてもビーガンメニューがサラダだけで、温かいメイン料理がないこともあります。そうなると「友人が満足しないだろうなぁ」と思い他の店を探します。
インバウンドが食事に困っている?!
世界人口76億人のうち34億人が「食のルール」を持っています。「食のルール」とは、宗教的に食べられないものある人や、アレルギーで食べられないものがある人、そして植物由来のもの食べるプラントベースの人を指します。
ヒンドゥー教の60%がプラントベースとも言われています。サスティナブルな未来を目指している現在、プラントベースは今後、増え続けていくと考えられています。
「食のルール」を持っている彼らが食事をするときは、店頭にあるマークや、ネットで調べて店を選んでいます。昨年のラグビーワールドカップでは、オールブラックスのメンバーのソニービルウイリアムス選手やオファトゥウンガファシ選手が秋葉原のハラル対応の焼き肉屋やハラルラーメン屋に出没していたのは有名な話です。
先日、ムスリム対応のカレー屋に食べに行くとヒジャブをした女性たちが隣に座っていました。彼女たちに話を聞くと、「日本料理を食べたいけど、ハラルなのかハラムなのかわからない。なので、旅行に行く前にネットでお店を調べているけど情報が少ない。」と言って明日はハラルラーメン屋に行くと笑顔で話してくれました。
コンビニなどの小売店でもハラルマーク、オーガニックマーク、GAPのマークなどがないため、購入するのに戸惑っています。
日本でビーガンパーティの仕事をする時は食材購入前に食品表示をよく読んでいます。理由は結構色々なところに副原料で豚、卵が使われているためです。
ちなみに私が以前住んでいたニュージーランド、ブラジル、トンガでは、スーパーマーケットでビーガン加工品、食品の陳列が広くとられており、オーガニック、ハラルなどの表示マークが付いている商品ばかりです。
レストランでもメニューを見ると2〜3品はビーガンメニューを載せて、ほとんどのレストランがビーガン対応していました。
なぜ、ビーガン、ベジタリアンが増えたのか。
ビーガン、ベジタリアンは8億人おり、そのうち2億人は宗教的な理由です。その他の6億人はどういう経緯でビーガン、ベジタリアン食を選んだのか。
増加起因となったのが、2006年にFAO(国連農業機構)が畜産の牛、羊、豚、鶏などが、温室効果の一因であるメタンガスを多く輩出していると発表しました。
その発表後多くの著名人が声を上げ、ミートフリーマンデーが欧米で広がり、ビーガン、ベジタリアンが急増しました。今ではヨーロッパに住んでいる10人に1人がビーガン、ベジタリアンと言われています。
日本でもミートフリー運動が広がっており、2018年から東京都庁の食堂でミートフリー運動をしています。
2020年の第92回アメリカアカデミー賞で招待客に振舞われたものはビーガン料理でした。
今後の目標
オリンピックは来年に迫っています。多くの観光客が押し寄せてきます。その時、観光客はどこを目指すのか?それぞれが持っている「食のルール」で食べることができるレストランに駆け込みます。
彼らは、SNS、WEBなどを利用して事前にそこを探して行きます。
10人のグループのうち1人がベジタリアンという場合、メニューにベジタリアンメニューがなければ選ばれません。「食のルール」を知り、まずは自分ができることから始めることが大事だと思います。
例えば、お店の入り口に「ビーガンメニューあります。」「We have gluten free options!」など紙に書いてアピールすることもできますし、メニューの1つ1つに誰でもわかるロゴを脇に表記することで、新たな顧客が生まれます。
旅行者は一回きりかもしれませんが、彼らが満足すればSNSに投稿し情報は広がり、その他youtube等で紹介することもあります。
もし、言葉の壁があるならよく使われそうな日本語を書き出し、WEB翻訳を利用して、日本語のとなりに英語を書いて対応することもひとつの“おもてなし”でしょう。
どの区よりもさきがけ台東区は「ムスリムおもてなしマップ」を発行し、台東区ハラル取得認証助成事業を推進しています。ご興味のある方は台東区の取り組みをご参考ください。
GAP、Organic、ハラル、コーシャ、五葷はもちろん、MEL-J、AEL-J、MSC、ASCなどは、CoC認証の取得を求められます。
私が手掛けるEndy’s Kitchenは、現在ビーガンメニューを掲載しており、今後はグルテンフリーメニュー、持続可能な食品を使った弁当、企業とコラボ弁当などの開発を進めていきます。 ビーガンメニューは受注の7割を占めご好評いただいています。
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