【受け継ぎたいばあちゃんの知恵 vol.3】夏の食卓にうれしい、塩イカ。

【受け継ぎたいばあちゃんの知恵 vol.3】夏の食卓にうれしい、塩イカ。

こんにちは、栄養士・食育栄養インストラクターの片桐佑香です!

 

【受け継ぎたいばあちゃんの知恵】は、“食の多様化が進む中でも、10年後も20年後も、ずっと受け継がれて行けば素敵だな”と感じる「ばあちゃんの知恵」が詰まった日本の伝統的な“美味しいもの”を、漬物作り・味噌作りなど、手仕事が大好きな私がご紹介していく企画です。

 

もうすぐ梅雨明け。クーラーを付けずには居られないような日も増え、本格的な夏が始まろうとしていますね。私は先月漬けた梅干しを早く干したくて、晴れの続く日を見計らっているところです。

そんな季節、今回は旨味たっぷりで夏バテ防止にもおすすめしたい食材、「塩イカ」の作り方をご紹介したいと思います。

 

 

 

「塩イカ」とは?

塩イカとは、茹でたイカを塩漬けにした、長野県の郷土食材です。冷蔵や冷凍技術が無かった時代に、腐敗しないよう塩をまぶして長距離の運搬に役立てられたのが始まりとされています。海のない地域ならではの知恵から生まれた食材なのです。

 

「塩イカ」の魅力は、“保存性の高さ”だけではなくその“旨さ”にあります。塩漬けすることによってイカの余分な水分や臭みが抜け、凝縮した旨味が味わえます。

 

長野県内のスーパーでは当たり前のように塩イカが並んでおり、塩抜きをするだけで簡単に料理に使うことが出来るため、和え物・酢の物・マリネなどにして、今でも多くの県民に親しまれています。

おばあちゃんの家に行くと食卓によく、塩イカを使った料理が並んでいました。学校給食でも登場し、食育の一環として“地域の食材”について栄養士の先生のお話を聞きながら、みんなで喜んで食べたのを思い出します。

 

 

 

イカの栄養・成分

 

イカ

 

イカには“タンパク質”、“タウリン”が多く含まれています。タンパク質は、血液や筋肉を作る働きがあり、エネルギーの生産効率を上げてくれます。タウリンは疲労回復に効果があります。どちらも夏バテ防止に効果的な栄養素です。

 

また、イカに旨味を感じるのは、旨味成分の“グルタミン酸”が含まれるからです。旨味成分に塩が加わると旨味が引き立ち、人間の舌はより“美味しい”と感じます。

そして、イカの旨味成分は熟成によって増加します。塩イカは、茹でたイカを塩漬けにし、熟成させているため、イカの旨味が上手に引き出され、夏バテ防止にピッタリの食材だと言えます。

 

 

 

「塩イカ」の材料

塩イカは、お家で簡単に作ることが出来ます。今回は5〜9月が旬の“スルメイカ”を使用しました。

 

塩イカの材料

 

材料 分量
スルメイカ 1杯
適量

 

 

 

「塩イカ」の作り方

<イカの下ごしらえ>

 

 

1.イカのはらわた、軟骨を引き抜く。目の下を切り、足の下にくちばし(硬いもの)があるので取り除く。胴の中をキレイに洗い水で流しながら手で皮をむく。(エンペラの方からむくとはがしやすいです。)

残った皮はキッチンペーパーなどで拭いて取り除く。

 

 

ゲソも水で流しながら1本ずつしごくようにして皮をむき、吸盤も除く。

 

 

2.鍋に湯を沸かし、イカを茹でる(3分程度)。茹で上がったら水に取って冷ます。

 

 

3.キッチンペーパーなどで水気をよく拭き取る(胴の中もしっかりと拭きます)、イカの胴、胴の中、ゲソにたっぷりと塩をまぶし、胴の中にゲソを入れ込む。

 

 

4.保存袋に入れしっかりと空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫で保存する。長期間の保存が可能で、1週間後くらいから食べ始めることが出来ます。

 

 

 

 

「塩イカ」活用レシピ

塩イカを活用し、簡単に作れる「マリネ」と「浅漬け」のレシピをご紹介します。

 

<イカの下ごしらえ>

 

 

塩イカは水で洗って塩を落とし、たっぷりの水に2~3時間浸けて塩抜きをする。

そのままではしょっぱ過ぎるので、ある程度塩を抜いて丁度良い塩梅にします。

 

「塩イカ」のレモンマリネ

 

「塩イカ」のレモンマリネ

 

材料(4人分) 分量
玉ねぎ 1/4個
赤パプリカ 1/4個
セロリ 1/2本
レモン 1/4個
塩イカ(塩抜きしたもの) 1杯
レモン汁 大さじ1
砂糖 小さじ1
小さじ1/2
コショウ 少々
オリーブオイル 小さじ2

 

「塩イカ」のレモンマリネの作り方

1.玉ねぎは透き通るくらいの薄切りにし、水にさらす。パプリカは縦に薄切りにし、セロリは筋を取って斜め薄切りにする。レモンは皮をよく洗い、薄いいちょう切りにする。塩イカは、5mmの輪切りにする。

2.レモン汁、砂糖、塩、コショウをボールでよく混ぜ、オリーブオイルを少しずつ入れて混ぜる。水気を切った玉ねぎと、その他の食材を加えて和えたら、冷蔵庫で10分以上置き、味を馴染ませる。

 

「塩イカ」のレモンマリネのポイント

イカの塩気とレモンの酸味の相性が抜群で、たくさん作ってもペロリと食べられます。ディルやケーパーなどのハーブを加えても美味しいです。

 

 

「塩イカ」の浅漬け風

 

「塩イカ」の浅漬け風

 

材料(4人分) 分量
わかめ 大さじ1
塩イカ(塩抜きしたもの) 1杯
キャベツ 1/4個
小さじ1/3

 

「塩イカ」の浅漬け風の作り方

1.わかめは水に浸けて戻しておく。塩イカは輪切りにする。

2.キャベツはざく切りにし、ボールに入れて塩を加え、しんなりするまで揉む。水を切 ったわかめ、塩イカを和える。

 

「塩イカ」の浅漬け風のポイント

あっさりと優しく、白いご飯・お味噌汁のお供に最適な1品です。みじん切りにした生姜を加えてもアクセントになって美味しいです。

 

長野県の郷土食材「塩イカ」。日持ちが良いだけではなく、旨さも上手に引き出された優秀な食材です。スルメイカ以外にも、その時期の旬のイカを使って作ることが出来ます。

 

みなさんもぜひ「塩イカ」を手作りし、夏場の塩分補給や夏バテ防止に役立ててみて下さい。美味しく食べて、きちんと栄養を摂り健康に過ごし、これから始まる暑い夏を元気に乗り越えましょう!

 

 

 

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