【受け継ぎたいばあちゃんの知恵 vol.5】とっておきの、ほっこり栗ごはん

【受け継ぎたいばあちゃんの知恵 vol.5】とっておきの、ほっこり栗ごはん

こんにちは、栄養士・食育栄養インストラクターの片桐佑香です!

 

【受け継ぎたいばあちゃんの知恵】は、“食の多様化が進む中でも、10年後も20年後も、ずっと受け継がれて行けば素敵だな”と感じる「ばあちゃんの知恵」が詰まった日本の伝統的な“美味しいもの”を、漬物作り・味噌作りなど、手仕事が大好きな私がご紹介していく企画です。

 

「美味しい栗ごはんが食べたい。」

 

仕事帰りのある日、秋らしい風がそよぐ夕暮れの道を歩いていたら、ふとそんなことを思いました。美味しい栗ごはんを食べるにはどうしたら良いか・・・。

 

「そうだ、美味しい栗を拾うところからやってみよう!」。

 

そう思い立って、次の休み、栗拾いに出掛けることに。

 

栗拾いをするのは、子供の頃以来。小学校の校庭に栗の木があり、この季節の放課後といえば友達と一緒に拾って帰り、母さんやばあちゃんに、茹で栗や栗ごはんにしてもらったのが懐かしいです。

その栗は山栗で、実が小さくて甘さもほとんどなく、正直、美味しさは今一つでした。けれど当時の私にとっては、自分で採ってきたものを味わうという特別な喜びがあったように思います。

 

今回は、美味しい栗を自分で拾うところから始める、とっておきの“栗ごはん”の作り方をご紹介します。

 

 

 

栗拾い・栗の保存法

 

栗拾い

 

地域や品種にもよりますが、日本で栽培されている和栗の多くは9~10月に旬を迎えます。今が旬の栗を拾うべく、とある栗農園におじゃましました。敷地には、見たこともないくらい多くの栗の木が広がっており、その1本1本にたくさんの可愛らしい栗が実っている様子に感激しました。

 

目線を下げると、コロコロと大粒で美味しそうな栗がたくさん。虫食いのものや、まだ熟してない栗もあるので注意して拾います。もっと大粒のものは無いかな?と目を凝らしながら、トングを使って黙々と拾い集める作業は、宝探しのようでとても楽しかったです。1時間も経たないうちにバケツ一杯の大粒の栗を拾うことが出来、大満足でした。

 

 

農園のスタッフの方によると、拾ってすぐの栗もとても美味しいですが、さらに美味しくする方法があるそうです!拾った栗はまず水道水でキレイに洗って水気をよく切り、新聞紙の上に広げて表面を乾燥させてから、ポリ袋に入れ口を緩やかに結び、冷蔵庫のチルド室で保存。すると1か月後にはなんと栗の糖度が3〜4倍になるのだとか。私もお家に帰ってすぐに実践しました。1か月後がとても楽しみです。

 

 

 

古米を美味しく食べるには?

9月といえば、黄金色の稲穂が実り、柔らかく艶やかな新米が出回る時期です。いち早く味わいたいけれど、“まだお家に去年のお米がまだたくさんある”なんてことはありませんか?

 

採れたての栗と新米を使った“栗ごはん”で秋の旬を存分に味わうのも贅沢ですが、今お家にある“古米”を使って美味しい栗ごはんを作ってみませんか?

新米に比べて硬く、粘りも甘さも少なく美味しくないと思われがちですが、ちょっとした知恵を3つおさえれば、古米は格段に美味しくなります!

 

1つ目は、米をしっかり研ぐこと。「古米だもんで糠臭いで、よく研いでな。」昔、ばあちゃんにそう言われた覚えがありますが、古米は糠が酸化しているので独特の臭みがあります。

ですので、お水を2〜3回変えながら、少し力を加えて手でかき回すようにして研いで下さい。ゴシゴシと力を入れて研ぐのはNG。昔に比べて今は精米技術が発達しているため、もともと米にくっ付いている糠が少ないからので、研ぎすぎてしまうと米が傷付いてしまい、米が割れてしまったり、デンプンが流れ出て炊き上がりがベタベタとしてしまう原因になるので注意してください。

 

2つ目は、酒を加えること。料理酒でも、日本酒でもいいです。酒を加えることで、古米特有の臭みを和らげて、ご飯本来の風味も引き立てる効果があります。

 

3つ目は、はちみつを加えること。単に、はちみつの甘さが加わるだけではありません。はちみつに含まれる“ジアスターゼ”という酵素が働き、米のデンプンを分解して“マルトース(麦芽糖)”という糖に変えてくれるため、ご飯に甘さが生まれます。はちみつの風味は栗との相性もとてもいいので、栗ごはんにピッタリの方法です。

 

このやり方でご飯を炊けば、お家に余っていたはずの古米がみるみるうちに無くなってしまうはず。贅沢しなくても、美味しいものは作れるのです。

 

 

 

「栗ごはん」のレシピ

自分で拾ってきた栗と、「去年の米はこれで最後だ。」と最近送ってくれた、じいちゃんが育てたコシヒカリを使って、とっておきの栗ごはんを作ります。シンプルに美味しい、栗ごはんのレシピです。

 

「栗ごはん」の材料(4人分)

材料 分量
20粒
20粒
2合
既定の量
大さじ1
はちみつ 大さじ1
小さじ1

 

「栗ごはん」の作り方

1.栗は2時間程、水に浸けておく。(こうすることで鬼皮が少し柔らかくなり、むきやすくなります。)米は洗って、1時間ほど浸漬させ、水気を切っておく。

 

 

2.栗のおしりの部分に包丁で切れ込みを入れ、鬼皮をむく。

 

 

3.鬼皮を全てむいたら、渋皮を包丁でむく。(柔らかい栗だと、りんごの皮むきの要領で手で栗をもってむくとスルスルとむきやすいですが、硬い栗の場合はむきづらく、手を滑らせると危ないので、まな板に置いて渋皮を削ぐようにして行うことをオススメします。)

 

 

4.炊飯釜に米を入れ、2合の目盛りまで水を入れたら、酒、はちみつ、塩を加えて混ぜる。栗を入れて、炊飯する。

 

 

5.炊き上がったら10分ほどフタを開けずに蒸らす。栗の実がつぶれないよう気を付けながら、しゃもじでふんわりとご飯をほぐし、茶碗に盛り付けたら出来上がり。

 

 

栗はホクホク・ねっとりと甘く、ご飯の甘みも優しくて、ついもう一杯おかわりしたくなってしまう味です。最後に黒ゴマをかけても、風味良く美味しく食べられます。

私はこのレシピがお気に入りなので、1か月後、また同じ作り方で、熟成し甘さが増した栗の栗ごはんを味わいたいと思います。

 

栗ごはんの良さは、ご飯の中に栗が埋もれているからこそ、栗の美味しさや存在感が特別なことのように思えるところにあると思います。純粋に栗を味わいたかったら、茹で栗や焼き栗を食べれば良い。けれど、栗を味わえる喜びというのは、ホカホカのご飯によって良い意味でかさ増しされる気がします。

 

自分で栗拾いに行くのはなかなか難しいかもしれませんが、スーパーやネット通販でも美味しい栗は手に入ります。今回ご紹介した、ご飯や栗を美味しく頂く知恵を活かしながら、ほっこり美味しい栗ごはんを作ってみませんか?実りの秋。美味しくて栄養のある旬の味覚を存分に味わって、気温の変化に負けず元気に過ごし、素敵な食欲の秋にしましょう。

 

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