【フランス流・心と体と地球に優しい食卓 Vol .4】瓶詰めで作り置き!チキングラタンの作り方

【フランス流・心と体と地球に優しい食卓 Vol .4】瓶詰めで作り置き!チキングラタンの作り方

2012年 フランス南部 バカンス中の一枚。

 

 

エコこそ理想 ”フリュガリズム”

ここ近年、特に30代から40代の若いフランス人の間で広まっている生活スタイルがあります。
それが「フリュガリズム」(frugalisme)。フランス語で「質素な」を意味する言葉から派生した言葉です。若いうちに十分な貯蓄を作ってセミリタイアし、都会を離れて自然豊かな地方で家族の時間を大切にした生活を送ることを理想にした暮らし方です。

若いうちにセミリタイアをするという点では、日本でも去年くらいから話題になっていた「FIRE」に近いところもありますが、フリュガリズムはより「エコ」と「自然に即した暮らし」に理想が置かれています。

生きるのに必要のないものを買わない、無駄な買い物をしないことでお金の節約と同時に消費するモノの量とゴミを減らし、環境に配慮することで結果的に自分たちの快適な暮らしに繋がるという考え方です。

以前フリュガリズムを実践する女性のドキュメンタリーがありましたが、冷蔵庫の中には使わない調味料を置かず、食事はオーガニックの食材で数日分作り置き。公共の交通機関を使い、子供のおもちゃはリサイクル品を選ぶなど、徹底した節約の中にもこだわりのある暮らしが印象的でした。

必要なものだけを求めて、より精神的に豊かな暮らしを求めた結果、仕事中心の暮らしから家族中心の暮らしを選択をする人が一定数いて、それがセミリタイアや地方移住などのムーブメントになるというのがフランスらしいところです。

 

 

豊かな生活の条件:豊かな自然

フランス人にとって自然豊かなところで暮らすというのは、ライフスタイルの一つの理想形のようです。

私が出会った人の中に、定年退職後に都市を離れてフランス南部の地方でシャンブル・ドット(フランスのB&B)を経営する女性がいます。私が尋ねた時は、庭でヤギやガチョウを飼い、小さな畑で野菜を育てる生活を送っていました。

 

彼女のガチョウと畑。人懐っこい子でした。

 

 

彼女の経営するシャンブル・ドットの客室。必要にして十分な、快適なお部屋でした。

リヨンでは長年企業のマネージャーとして忙しく働き、職場と家を往復する生活を送っていた彼女ですが、退職後はアパルトマンを引き払って完全に移住。
「以前は生きるために働いていたけれど、今は自分の人生を楽しむために働いている気がする」
「SNSもあるし、尋ねて来る人もいるし、面倒を見る動物もいるから寂しくないわ」
貯蓄と年金、B&Bに都市から癒しを求めてやって来る友人や観光客を受け入れることで生計を立てながら、自分のペースで生活をしていると生き生きと話してくれたのが印象に残っています。

 

余談になりますが、「環境を大切にすることで人間にも良い影響がある」という考え方は、フランス人がオーガニック食品を選ぶ主な理由にもなっています。日本でのイメージは「オーガニック=健康」が主流だとすると、フランスでは「オーガニック=エコ」。
フランスで鉄道に乗っていると地平線まで続くような一面の畑が広がる光景を見ることがありますが、まさに「豊かな大地」という言葉がぴったりで、この恵みを守って、この中で暮らしたいと人に思わせる力があります。

”エコは人のためならず”・・・私たちが学ぶことができる教訓かもしれません。

 

 

瓶詰めで作り置き!フランス家庭のエコ料理「作り置きチキングラタン」

家庭でのエコの取り組みで、フランス家庭に欠かせないのが「ガラス製のジャー」です。
1年に1回のジャムやテリーヌの作りに使ったり、普段の生活でも保存や作り置きに大活躍。
パリには”BOCO”(ボコ)というジャーでテイクアウトやイートインができるデリの店もあり、有名シェフの監修した料理をラップや使い捨ての容器を使わず楽しめるとあって人気です(個人的には日本でも展開してほしいお店No.1です)。

今回はフランス人に倣ってジャーで作る作り置きのチキングラタン。
耐熱容器で作ったら、そのまま蓋をして冷蔵庫で保存OK!
ホワイトソースと具材を別々に作らないので失敗なしで作れます。

 

 

材料(ジャー2個分) 分量
鶏もも肉(細切れ) 200g
ショートパスタ 50g
ほうれん草・ブロッコリー・とうもろこしなど 100g程
玉ねぎ 1/4個
バター 30g(ちょっと多めで美味しい!)
牛乳 200ml
薄力粉 15g
パルメザンチーズ 大さじ2
ローズマリー・タイムなど 適量

 

 

今回は自家製の冷凍野菜を使いました。
野菜は旬の時期や、手頃な時に多めに買って湯がいたり蒸したりして冷凍しておくととても便利です。
都度調理するよりもガスや電気も使いません。
私は使いきれないローズマリーやタイム、パセリも冷凍して常備しています。

今回パスタはフジッリを使いました。ペンネよりも調理時間が短い場合が多いので、忙しい方、ガスの使用時間を短くしたい方にオススメです。

 

作り置きチキングラタンの作り方

オーブンを190度に予熱し始める。
鍋に湯を沸かし、ショートパスタを所定の時間よりも1〜2分ほど短く硬めに湯がいておく。

 

 

フライパンにバターを溶かし、鶏もも肉、薄切りにした玉ねぎを炒める

 

 

鶏肉に火が入ったら薄力粉を加え、全体にねっとりするまで絡ませる。
全体にまんべんなく絡めるのがポイントです。

 

 

牛乳を2回程度に分けて加え、全体がホワイトソースのように粘りが出るまでかき混ぜる。
冷凍の野菜を加え、適度に水分を飛ばす。

 

 

※今回は数日間保存することを前提にしているので、水分は少ししっかり目に飛ばします。
3分ほど中火で加熱して、全体がねっとりするまで加熱しましょう。

 

 

水分をしっかりと切ったショートパスタを加えて全体をしっかりとかき混ぜる。

 

 

190度に予熱したオーブンで15分ほど焼いて完成!

 

 

粗熱が取れたら蓋をして、冷蔵庫で保管します。食べるときは電子レンジで温めてお手軽に。
小さい容器で作って、蓋をしたらそのままお弁当にしてもOK。
ちょっとおしゃれなランチに、いかがですか。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

 

フランス家庭料理研究家
竹本ともこ

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