ワイン用ブドウ栽培の挑戦場所は、長野県長野市の北部「浅川」という地区にある。
「浅川ダム」の建設により掘り起こされた約20万年前の土の中には、農業の手助けをしてくれるような微生物は存在せず、有機物の乏しい極めて地力の低い土壌であることは、こちらのブログでお話した通りである。
約3ヶ月間に及ぶ植樹準備が完了し、今回はいよいよ全ての始まりである「植樹」を迎えた。
目次
苗(挿し木)の準備
植樹に準備した挿し木の数は27,000本。通常約80%の割合で発根発育すると言われるが、養生分も含めてかなり多く準備することにした。
冬の間、剪定(せんてい)の終わった枝を1目残して20~25cmに切り、以下の写真の通り冷所保管をしておく。
剪定(せんてい)とは樹木の枝を切り、形を整えたり、風通しを良くする事。庭木の手入れとして行われる。見た目を美しくするのみでなく、養分を効率よく利用させて生長を促進したり、病害虫の繁殖を予防する効果がある。
出典元:wikipedia
「挿し木」と「接ぎ木」
一般的にブドウ樹を植樹する際には「接ぎ木」を用いる事が多い。世界に植えられているヨーロッパ系品種のほとんどが「接ぎ木」であると行っても過言ではないだろう。
「接ぎ木」を用いる理由は、ヨーロッパ系ブドウ(ヴィニフェラ種)がフィロキセラ(ブドウネアブラムシと呼ばれるブドウ樹の葉や根にコブを生成してブドウ樹の生育を阻害し、やがて枯死に至らせる昆虫を指す)という虫に抵抗力が無いためである。
19世紀後半、品種改良のためにヨーロッパへ移入したアメリカ原産のブドウ樹に付着していたフィロキセラによって、ヨーロッパ系ブドウ(ヴィニフェラ種)が全滅に近いほどの被害を受け、多くの歴史あるワイナリーがそのワイン畑と共に失われたという歴史がある。
すなわち、ブドウ樹の土台となる台木は必然的にフィロキセラに抵抗力のあるもでなければいけない。それがアメリカ系品種である。
北米原産のブドウを母体として育成された抵抗品種を台木とし、そこにヨーロッパ系品種の穂木を接ぐことによって、安全にワイン生産に向くヨーロッパ系品種の果実を得ることができる。
フィロキセラとは
(引用:Wikipedia)
浅川の圃場でも、10年以内に接ぎ木苗へ植え替えを行う予定である。
最初から「接ぎ木」苗を使用しなかった理由は、以下の3点である。
- その土地の適正品種をまずは検証したかった(植え替えのタイミングで品種を絞り決定する予定)
- 苗木の購入金額が膨大である(苗1本 1,500円ほど。苗木だけで2,000万円を超えてしまう計算)
- 苗木が入手困難である(需要に供給が追いついていない、2年待ちのような状態)
以上のことから、まずは適正品種を見極めが必要だと考えた。
栽培品種の選定
ブドウ栽培地が長野県北部浅川(標高6,30m/北信地区)の「冷涼気候」であるため、白ブドウを主体に15品種を選定した。
白ブドウ品種
- シャルドネ
- ソービニヨン・ブラン
- ヴィオニエ
- プティ・マンサン
- セミヨン
- ピノ・ブラン
- ピノ・グリ
- リースリング
- 竜眼
黒ブドウ品種
- メルロー
- ピノ・ノワール
- カベルネ・フラン
- タナ
- シラー
- サンジョヴェーゼ
植樹当日を迎える
ようやくの植樹当日。しかし、27,000本という植樹本数を一人で行える訳がなく、、
だが有り難いことに、多くの地元ボランティアの方々がご協力して下さり無事、植樹を終えることができた。
植樹作業の2日間で約80名のボランティアの方々が参加!感謝。
地元のみなさまの期待に応えて、しっかりと栽培していかなくてはならない。
ワインの奥深き世界をご覧ください!
ブドウ栽培に適した自然環境とは?5つの条件を解説!
ブドウ栽培に挑戦!長野県の自然豊かな土地を栽培所に