休みの日にゆっくり料理を楽しんでいるひと時、うっかりと赤ワインのシミを付けてしまった時、どのように対処すればよいのでしょうか。
実は、赤ワインの染み抜きの方法は、これからご紹介する様々な方法で対処することができます。
今回は
- 麻
- 綿
- ポリエステル
の3つの生地に効果的な、赤ワインのシミの取り方をご紹介します。
目次
赤ワインがシミになる原因とは?
赤ワインの赤色、紫色を出しているのは
- アントシアニン
- タンニン
と呼ばれる色素です。
植物性で水性の性質を持つ赤ワインですが、これらの色素が多く含まれているため、シミは落ちにくくなります。
赤ワインのシミ抜き実験の方法!使用薬品と繊維について
時間が経過してしまった赤ワインのシミはどのように対処できるのでしょうか?
使用する薬品によっては、繊維を傷めてしまったり、色が変色してしまうなど最悪の結果を招いてしまうことも。
今回は、下記の5種類の薬品を使用して、赤ワインのシミ取りを行いました。
左から、
- 洗濯用洗剤(中性)
- エタノール
- 酸素系漂白剤
- 重曹
- クエン酸
です。
また、比較対象に用いる生地は、洋服やテーブルクロスに頻繁に使われている、下記の3つの繊維です。
- 綿
- 麻
- ポリエステル
下記写真のように、各素材に赤ワイン(小匙1杯)を湿らせて実験を行います。
素材によって、シミの広がり方が異なり、綿や麻は広がりを持って液体が染み込み、ポリエステルは吸収をせずに液体が流れ出していました。
また、時間差によるシミの抜け具合の変化を確認するために、生地は下記の2種類を用意しました。
- 赤ワインをこぼしてから「10分」経過した生地
- 赤ワインをこぼしてから「12時間」経過した生地
赤ワインをこぼしてすぐにシミ取りを行った場合と、翌日対処した場合の2つの時間軸を想定しています。
これから染み抜きを行う方は、ぜひ参考にしてみてください。
洗う前に「洗濯表示」を必ずチェック
「色もの」や「柄の付いているもの」、「その他素材」によっては「色落ち」をしたり、「サイズが縮む」ことがあるので注意が必要です。
水洗いができる素材、色落ちしない素材かどうかを確認したうえで染み抜きを行ってください。
今回実験した生地の中でも、使用した薬品によっては、色落ちをしたものがあります。
色落ちした素材の結果も、写真に載せていますので、一つの失敗例として参考にしてみてください。
それでは、実験を見ていきましょう。
【綿】赤ワインのシミ抜きの結果
綿の素材は肌さわりがよく、シルクの様な風合いをしていることから、テーブルクロスの素材に用いられることが多いです。
しかし、水分を吸収しやすい性質のため、赤ワインをこぼすと、繊維に広がり染み込んでいくスピードも早いです。
綿素材における赤ワインのシミ抜きは、こぼしてから早い段階で行うことが大事です。
実験の結果は、下記の通りです。
薬品 | 結果 | 詳細 |
---|---|---|
酸素系漂白剤 | ○ | シミが消えた |
重曹 | × | 赤ワインのシミ部分が黒く変色した |
クエン酸 | × | シミは消えない |
洗濯用洗剤(中性) | △ | うっすらとシミが残る |
エタノール | △ | うっすらとシミが残る |
酸素系漂白剤が、最も綺麗に汚れを落とすことができました。
【綿】10分放置した場合
10分間シミを放置した場合、最も効果があったのが酸素系漂白剤です。
続いて、エタノールと洗濯用洗剤が、うっすらと残る程度のシミの濃さになるまで落ちています。
【綿】12時間放置した場合
12時間経過したシミは、10分間の生地と比べると、シミが色濃く残っていることが分かります。
酸素系漂白剤で落とした場合のみ、時間の経過に関わらず、綺麗にシミが消えており、効果が出ています。
クエン酸、重曹では赤ワインのシミを落とすことができませんでした。
【麻】赤ワインの染み抜きの結果
春夏の洋服に着心地の良い、通気性と吸湿性の高いことが特徴の麻素材ですが、蛍光洗剤(粉末状の濃度の濃い洗剤)を使用すると、デリケートな麻の生地が傷んでしまったり、変色する原因となるので注意が必要です。
実験結果では「酸素系漂白剤」と「重曹」によるシミ落としが、麻の生地の変色を招いており、シミが残ってしまいました。
麻素材における最も効果的な方法は、シミがついたら早めに洗濯用洗剤で対処することです。
薬品 | 結果 | 詳細 |
---|---|---|
酸素系漂白剤 | × | 酸素系漂白剤に負けて白く跡が残る |
重曹 | × | 生地の色が変色した |
クエン酸 | × | シミが残る |
洗濯用洗剤(中性) | ○ | 早めに対処すれば消える |
エタノール | △ | 早めに対処すれば殆ど消える |
【麻】10分放置した場合
洗濯用洗剤はシミがキレイに落ちており、エタノールはうっすらと残る程度まで落ちています。
クエン酸は大きな変化が現れず、効果がでていません。
【麻】12時間放置した場合
長時間放置した場合、赤ワインのシミが落ちずに跡が残る結果となりました。
酸素系漂白剤と重曹は、素材が負けて色が変色しており、麻の種類によっては使用をなるべく控えることをおすすめします。
【ポリエステル】赤ワインの染み抜きの結果
シワになりにくく、お手入れがしやすいポリエステルには、「汚れが落ちやすい」メリットもあります。
実験に用いた大半の薬品においては、赤ワインのシミが落ちていました。
最もシミが消えて効果的であったのが、酸素系漂白剤と洗濯用洗剤です。
以下、実験の結果をご紹介します。
薬品 | 結果 | 詳細 |
---|---|---|
酸素系漂白剤 | ○ | シミが消えた |
重曹 | × | シミが残る |
クエン酸 | △ | うっすらとシミが残る |
洗濯用洗剤(中性) | ○ | シミが消えた |
エタノール | △ | うっすらとシミが残る |
【ポリエステル】10分放置した場合
重曹以外の薬品は、汚れが目立たない程度まで、シミが落ちていました。
酸素系漂白剤と洗濯用洗剤が最も効果が現れています。
【ポリエステル】12時間放置した場合
時間が経過したポリエステル生地であっても、酸素系漂白剤と洗濯用洗剤による染み抜きは、汚れが落ちています。
重曹やクエン酸、エタノールでは、うっすらと赤ワインのシミが残っています。
赤ワインのシミ落としの実験結果のまとめ
「綿」「麻」「ポリエステル」の3種類の生地を用いて、赤ワインの染み抜きの実験を行った結果はこちらです。
【素材】 | 【シミに効果的な薬品】 |
---|---|
綿 | 酸素系漂白剤 |
麻 | 洗濯用洗剤 |
ポリエステル | 酸素系漂白剤・洗濯用洗剤 |
実験をする中で、色が変色を起こしたり、生地を傷めてしまうケースがありました。
ご自宅でシミを落とす際は必ず洗濯表示を確認してから、シミ取りを行うことをおすすめします。
シミ抜き以外に、テーブルクロスを汚れから守る方法
テーブルクロスにおいて、シミ抜き以外の対策を以下、ご紹介します。
- テーブルクロスに撥水加工を施す
- 使い捨てできる不織布テーブルクロスを使う
撥水加工は、綿素材や麻素材など様々な繊維にかけることができ、赤ワインのシミを生地に吸い付けることなく、はじいてくれます。
赤ワインをよく飲まれる方は、テーブルクロスの購入の際に、撥水加工が施されているかをチェックをしてみてください。
使い捨てができる不織布のテーブルクロスは、汚れたら取り換えることができるため、シミを気にする負担が減ります。
クリーニングへの持ち込みや、洗濯が必要なく、使い捨てできることが魅力的です。
赤ワインのシミは洗濯表示を見て早めに対処しましょう
赤ワインのシミは水性の性質を持ちますが、時間が経てばたつほど、繊維の奥に色移りを起こし、シミが取れにくくなります。
そこで、早めのシミ取りを行うことが必要となります。
生地と薬品の相性が悪い場合には、素材を傷めてしまったり、色が落ちないこともあります。
洗濯表示を必ず確認したうえで、生地に適したシミ取りの対処法を行うようにしてみてくださいね。