5月に入りすっかり春を感じる気候となった長野県。例年と比べてとても涼しい本年度だが、末の終日は30度を越す暑さとなった。
発芽したブドウ達はすくすくと成長し、新梢管理、芽かき作業に追われる日々が続いている。
5月初旬
5月下旬
目次
芽かき
気温の上昇とともに芽が膨らみ展葉してきたブドウ達の生長を管理するとても大事な作業である。
展葉7枚前後までの生育は前年の貯蔵養分に依存しているとされるため、早い時期の芽かきは、養分の浪費を防ぎ、生育を促進させる効果があるとされる。
ただ、芽かきを一挙に行うと、残った新梢が徒長し、花振いや果実品質低下の恐れがあるため、新梢の勢いを見ながら2〜3回に分けて行う。
1回目の芽かきは、展葉2〜3枚の頃、新梢の初期生育を促すために、不定芽や副芽、基芽をかく。
病害虫(1)ツマグロアオカスミカメ
圃場で毎年おおきな被害を出すとても小さな虫。
葉では最初、暗褐色の小斑点を生じ、葉の成長とともに吸汁部が拡大し大小の穴があく。被害は基部葉から4〜5葉までに多い。
発芽間もない芽の中に産卵し、第一世代幼虫は5月中〜下旬に出現し、以降他の植物に移動し年2〜3回発生する。
被害にあった葉
被害にあっていない健全な葉
病害虫(2)ブドウハモグリダニ
成幼虫の吸汁および毛せんの形成により葉の表裏が凸凹状に変形する。
ウイルス性の病気を媒介するとも言われており、被害は決して大きくないが注意が必要である。
病害虫(3)黒とう病
圃場一部の樹で発生しているが、一度感染するとなかなか完治するのは難しい。感染部は除去し園外へ持ち出し処分すなど徹底した管理が必要とされる。
病気は新梢や葉、巻きひげ、果粒などの軟弱な組織に発生する。葉では褐色の小さな斑点が現れ、その後、2〜3mmの円形病斑に拡大する。
病原菌は結果母枝や巻きひげなどの病斑組織内に菌糸の形で越冬し、発芽期頃の降雨で病斑部が濡れると、その上に胞子が形成され、これが一次感染となり、雨滴により新梢や若い葉などに感染する。
収穫の9月まで今後も様々な病害虫におかされるであろう。
ブドウが最も病気にかかりやすい6月をまずはしっかり乗り切らなければならない。
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