【ワインは特別なお酒】ソンユガンのブドウ栽培挑戦 〜ブドウの成熟まで〜

【ワインは特別なお酒】ソンユガンのブドウ栽培挑戦 〜ブドウの成熟まで〜

9月末になり秋らしい気温になってきた長野県。中旬まで日中は30度近くまで上がり、残暑が続いていたが、朝晩は徐々に冷え込み、最低気温が15度近くにまでになってきた。

ブドウの葉は少しずつ紅葉し、枝は登熟、果実は成熟と変わりゆく時間と共に変化している。

今年は、試験的にいくつかの樹に着果させたが、それらの実もまた、季節の変化に合わせて生長を続けている。

 

 

花穂 (かすい)

前年に新梢の腋芽内で分化、発達した花穂原基は、翌年の発芽期直前から再び急速な発育を始める。

花穂原基の主軸および分岐した穂軸が伸びて急速に大きくなり、発芽してからの花穂の発育は更にいちだんと早くなる。基部の小穂では個々の花蕾の発育が、中央部から先端部では穂軸の分岐と花蕾の分化が行われると言われている。

 

 

 

 

 

開花と受粉

花器が完成すると、温度の上昇に伴って花冠が裂開して小花が開花し、同時に葯(おしべの一部)も列開して花粉が飛散する。

開花、開葯に必要な温度は品種で異なるが最低15℃以上とされ、ただし、直射日光が当たっていれば気温が15℃以下でも小花の体温はそれ以上になり開花すると言われている。

ほとんどの栽培品種では、5本の雄ずいが花柱を取り囲むように伸び、その先端にある葯からこぼれ落ちる花粉は自動的に柱頭に付着して自家受粉する。

ブドウの花は非常に地味で、一見咲いているのが分からない程であるが、近づいて良く見てみると、とても小さな白い花が咲き乱れ、華やかな香りが漂っている。

 

 

 

 

 

 

ベレーゾン(veraison)

ブドウ果実の重量、容積などは、開花直後から緩やかに増加するが、やがて極めて急激に増加、満開後35日を過ぎると約1か月間は緩やかになり、その後再び急速に増加して完熟に至るとされる。

初めの急速な肥大期を果実発育の第一期、途中の肥大停滞期を第二期、最後の生長期を第三期という。

第二期から第三期への変わり目は、果実の緑色が淡くなり、それまで硬かった果肉が軟らかくなる時期であり、これを「水がまわる」と表現し、外国ではベレーゾン(veraison)と読ばれる。

 

 

 

着色から成熟

ベレーゾン後の第三期には果皮の着色、果汁中の酸の減少と糖の増加など、果実の成熟が行われる期間である。

果皮の着色はブドウの成熟過程の重要な要素の一つであり、果実の色が赤や紫、黒色に変化するのは、亜表皮細胞の液胞中にアントシニンと呼ばれる色素群が集積するためである。

アントシニンは、アントシアニジンと呼ばれるポリフェノール骨格にブドウ糖などが1または2個結合した配糖体で、ブドウ色素アントシアニジンは数種類あり、品種によってその構成が異なるとされている。

種子は果実成熟の第一期中、ほぼ一定の速度で大きくなり、第二期に入ると種皮の硬化が始まって重さがやや増加する。その後、種子中の胚が活発に発育し、果実が完熟する頃には種子の成熟がほぼ完了するとされる。

 

 

 

 

 

 

ブドウが成熟し収穫されるまでの過程を改めて観察すると、それはブドウが開花、結実する約1年前まで遡る事ができる。前年の新梢期部腋芽内で花穂が分化し、夏の間に花穂原基は発達を続け、秋には花穂原基の期部では個々の花蕾の花托(花葉がつく軸の部分)がつくられる程度に、中央部ではいくつかの花蕾の集合体ができている程度に発育する。それが今年の発芽期直前から急速に発育を始め大きくなり、花器が完成した後で開花を迎える。

 

その年のブドウ収穫への道のりは、実は既に前年春の生育から始まっているのである。

そして、その年の冬の剪定を経て、開花、成熟、収穫を迎えて、果実はようやく収穫される。

 

収穫までの長い道のりと、それまでの努力苦労が報われる瞬間に歓喜しないわけがない。

 

 

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