【受け継ぎたいばあちゃんの知恵 vol.10】寒天から手作り!いちごの茶巾寒天

【受け継ぎたいばあちゃんの知恵 vol.10】寒天から手作り!いちごの茶巾寒天

こんにちは、栄養士・食育栄養インストラクターの片桐佑香です!

 

【受け継ぎたいばあちゃんの知恵】は、“食の多様化が進む中でも、10年後も20年後も、ずっと受け継がれて行けば素敵だな”と感じる「ばあちゃんの知恵」が詰まった日本の伝統的な“美味しいもの”を、漬物作り・味噌作りなど、手仕事が大好きな私がご紹介していく企画です。

 

2月。暖かな日もありますが、まだまだ朝夕は冷え込みますね。私は仕事帰りや散歩の途中にふらっと銭湯に寄るのが好きです。特にこの季節は、冷えた体をぽかぽかに温めてくれる、家庭的で和やかな雰囲気のある銭湯に癒しをもらっています。

 

そして、私の地元・長野県にはこんな寒い時期ならではの風物詩があるんです。それは「寒天づくり」。 主に諏訪地方で、冬の寂しくなった田んぼ一面が、白く輝く寒天畑に様変わりした風景を見ることが出来ます。これは、広い敷地を利用して寒天を干している状態です。勘のいい方は、海の無い長野県でなぜ寒天?と思うかも知れません。 実は、山の多い長野県は、“八ヶ岳から生まれる美味しい水”“自然が育む美味しい空気”“気温の低さ”“晴天の日が多く湿度が少ない内陸的な気候”、というような条件の整った、美味しい寒天作りに最適な土地なのです。

 

そんな長野の特産品「寒天」は、家庭でも親しまれています。子供の頃、ばあちゃんがよくフルーツ寒天を作ってくれた思い出があります。中でも青りんご味の寒天が大好きで、ぷるぷるとしていて口の中に入れるとホロリと崩れ、青りんごの香りが広がる。後味も爽やか。ばあちゃんの手作りおやつの定番でした。

 

今回は、寒天をイチから手作りするやり方と、この季節に美味しい“いちご”を使った寒天スイーツのレシピをご紹介します。

 

 

 

寒天とは?

寒天が何から出来ているか知っていますか?「テングサ」という赤紫色の海藻です。

 

テングサ

 

テングサを水にさらしてから乾燥させることを何度も繰り返し、退色して白くなったものを、水と共に煮溶かし、冷やすことでフルフルと固まります。これを乾燥させたものが、お菓子作りや料理でお馴染みの“寒天”です。

 

寒天の起源は約400年前。京都の美濃屋という旅館のおもてなし料理の中に、中国から製法を学んで作った“ところてん”がありました。主人である太郎左衛門が、残ったところてんを外に置いて保管したところ、真冬の寒さと乾燥によって凍結・解凍・乾燥を繰り返し、白い乾物となりました。これを試しに水と共に煮溶かし、放置したところ、透明で臭みの無い固まりとなったのです!宇治・万福寺の高僧の隠元に気に入られ、“寒空”や“冬の空”を意味する漢語の寒天に寒晒心太(かんざらしところてん)の意味を込めて「寒天」と名付けられました。

 

偶然に出来た産物が、今の時代にも受け継がれ親しまれていること、特別なことでもあり、本当に不思議だなぁとつくづく思います。

 

 

 

寒天の栄養

寒天の成分は、ほどんどが食物繊維です。食物繊維には“不溶性食物繊維”と“水溶性食物繊維”があり、寒天に含まれる食物繊維の多くは“水溶性食物繊維”。水溶性食物繊維は、血圧やコレステロール、血糖値を下げてくれる働きがあります。

 

また、腸内で膨らんで便を出しやすくしてくれるため、便秘解消に役立ちます。腸には免疫機能の70%が詰まっているため、便秘が解消され腸内環境が整うことにより、免疫力をアップすることに繋がります。食生活の中にぜひ取り入れて欲しい食材の一つです。

 

おすすめは、ご飯を炊くときに米2合に対し4gの粉寒天を加えて一緒に炊くこと。味にあまり影響はありませんが、ご飯がツヤっとして美味しく頂けます。

 

 

 

「テングサ」から作る「寒天」のレシピ

テングサをお家で煮出して、イチから寒天を作ってみませんか?ほんのりと磯の香りがして、ぷるぷるで舌触りの良い手作り寒天は、市販の寒天とは比べ物にならないほどの美味しさです。テングサは、製菓材料店や通販などで手に入ります。

 

基本のテングサの煮出し方

材料 作りやすい分量
乾燥テングサ 30g
2リットル
大さじ1

 

作り方

1.テングサを揉み洗いして、大きめの鍋に入れ、2リットルの水を入れて1時間浸けておく。

 

 

2.1を火にかけ、沸騰したら酢を入れて混ぜる。中火で40分程煮る。

 

 

3.テングサが煮崩れてきたら火から下ろす。ボールの上にざるを置き、さらしを敷いて3を注いでこす。残ったテングサはさらしで包み、ヘラなどで押して液を絞り出す。≪寒天液≫

 

 

約1リットルの寒天液が出来上がります。テングサの繊維を崩して煮出しやすくする為にお酢を加えますが、長時間加熱するため酸味が飛び、味は然程気にならないと思います。

 

 

そのまま保存容器などに入れて冷やし固め、角切りにして豆や黒蜜をトッピングすれば“あんみつ”に、適度な大きさに切り出して天突きで突き出せばところてんになります。寒天液にお砂糖や果汁・フルーツを加えて固めれば、フルーツ寒天を作ることも出来ます。ぜひお好みの寒天スイーツ・料理にして楽しんでみて下さい。

 

 

 

「いちごの茶巾寒天」のレシピ

この時期美味しい“いちご”を使った、寒天スイーツのレシピをご紹介します。爽やかな香りの寒天、甘酸っぱいいちご、ねっとりと甘みのある甘納豆がマッチして、あとを引く美味しさです。見た目も可愛いので、これからの“ひな祭り”や“お花見”に合わせて作っても喜ばれると思います。

 

 

「いちごの茶巾寒天」の材料(6個分)

 

 

材料 分量
≪寒天液≫(3で煮出したもの) 300㏄
砂糖 30g
レモン果汁 小さじ1
いちご 6粒(小粒のもの)
甘納豆 50g

 

「いちごの茶巾寒天」の作り方

1.いちごはへたを切り落とす。

 

2.≪寒天液≫を軽く煮たてながら、砂糖を入れて溶かす。火を止め、レモン果汁を加え混ぜる。

 

3.小さな器にラップを敷き、甘納豆・いちごを入れ、2の液を注ぐ。ラップをねじって口を閉じ、輪ゴムで留める。熱が取れたら、冷蔵庫で冷やし固める。

 

 

ラップを外し、お皿に盛り付ければ完成です。テングサから作るのが難しいという方は、水330cc、粉寒天3gを小鍋に入れ、混ぜながら3分程煮立て≪寒天液≫として代用することも出来ます。

 

これから旬がやってくるいちごですが、今年は新型コロナウイルスに伴う観光需要などの減少により、いちご狩りサービスを提供する農家さんが大打撃を受けているそうです。スーパーでも例年に比べ、いちごが割安で販売されているのを目にします。そういった打撃はイチゴ農家さんだけにとどまりません。農家さんが手間暇かけて育てた食材を、ぜひ一緒に“食べて”応援しましょう!

 

私自身、おうちでゆったりと時間を使いながら、何かを1から作ったり、こだわった料理を作ったりしている時、普段食卓に食を提供してくれている人たちへの感謝がより生まれるなぁと実感しています。みなさんも手作りを楽しみながら、「いただきます」をより特別にしてみませんか?

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