フランス家庭料理研究家の竹本ともこです。日常に取り入れて楽しめるフランスの家庭料理や生活文化をご紹介しています。
“SDGs”の言葉を色々なところで聞くようになりましたが、自分の日常に関係があるのかはちょっと・・・?そんな方も少なくないのでは。
今回はそんな方にとくにお伝えしたい、フランス人の大切にしている暮らしのあり方のお話です。
目次
フランス人の“自然体のSDGs”
2018年 リヨン
毎週末開かれるマルシェは、日常で四季を感じるまたとない機会です。
フランス人は「心地よさ」に敏感です。
私の知るフランスの友人たちは服を買うときは綿や絹のような自然の素材を選び、普段からしっかりメイクをしない人が多いのですが、理由を聞けばよく「こちらの方が心地良いから」という答えが返ってきます。
日本に紹介されるフランス製のリネンや石鹸もごくごくシンプルな素材のものが多いように、華美であることよりも使い心地の良さに価値を見出す人が少なくないことを感じさせます。
その志向は食のシーンでも同じで、bio(フランス語でオーガニック)やフェアトレードの商品を、普通のスーパーの食品売り場でもよく見かけます。
また地産地消に取り組むお店も少なくなく、野菜や果物だけでなくチーズやワインなど、様々な地元の美味しいものが食卓に届けられています。
地産地消をテーマにしたチーズ専門店もあります。
そういった食品は一部の人だけのためにあるわけではなく、カジュアルに「丁寧に作られた食品は美味しそう」とか、「こちらの方が気持ちの良い買い物ができる」といった気持ちで手を伸ばしている人が大半だと感じていました。
こんな“自然体のSDGs”とも呼べる素地があるせいか、フランスはオーガニック市場の成長も他の国に比べても著しく、またいわゆるスーパーフードやグルテンフリーのような健康を意識した商品も年々人気を高めています。
そしてbioとセットでよく聞く言葉が“bien être(ビアン・エートル)” です。
この言葉をタイトルにした人気雑誌もあるくらい、フランスでは日常に浸透した言葉です。
“ウェルネス”と同じ意味合いで、健康管理やボディケアのことを指して使われることが多い言葉ではありますが、自分の心地よい感覚に正直に、心と体の健康を大切にすることが、ひいては環境や地球を守ることに繋がる・・・そんなニュアンスも含んだ実にフランスらしい言葉だと思っています。
心と体と地球に優しい食卓を提案します!
未来のためにエコで健康的な暮らしを実践したい!
でも我慢が必要だったり、お金がかかるのはちょっと・・・
そう思っている方には、フランス的な食や暮らしへの向き合い方は参考になるかもしれません。
“心地よさ”をキーにすると、暮らしの工夫や毎日の選択それ自体が楽しく、習慣自体もサスティナブルになっていくはず。
自分と地球の未来の健康のために、心地よくて美味しい選択を楽しく一緒に重ねていきましょう。
これからシリーズで、フランス的なエコな食卓と暮らしをテーマにご提案していきます。
どうぞ、よろしくお願いします!
フランス家庭料理研究家
竹本ともこ