2018年 リヨン
フランス料理といえば「お肉」と「バター」。そんなイメージを持つ方が多いフランスの家庭料理です。
でも毎日のごはんの隠れた主役をご存知でしょうか?
それは「豆」です。
フランスでは地方ごとに何種類もの豆料理があり、使われる豆の種類も様々です。
目次
フランス料理の隠れた主役「豆」料理
たとえば南部フランスの名物として有名なカスレも、白いんげん豆という豆を使った立派な「豆料理」。
豆は添え物としての出番が多いこともあり、あえてフォーカスの当たることの少ない食材ではありますが、カスレの他にも毎日の食卓で楽しめる豆料理はたくさんあります。フランスのスーパーに行くと、缶詰のコーナーはこの通り。缶詰の野菜と一緒に、豆の種類も豊富です。
フランスで人気なのはレンズ豆?
豆のなかでも「レンズ豆」は使い勝手がよく人気です。
photo by Frédérique Voisin-Demery
日本ではまだあまり馴染み深いとはいえない食材ですが、ほくほくとした食感と甘みが特徴で、多くの豆と違い水で戻す必要がないため、スープに気軽に加えたり、料理のとろみ付けにも使える便利な食材です。
レンズ豆を使ったフランス料理で、おそらく一番有名なのが、「プティ・サレ」。
ビストロで定番の家庭料理で、柔らかく煮たレンズ豆と野菜に豚バラの塩漬けやソーセージを添えた、素朴ながらも滋味の溢れる一皿です。この料理で使うレンズ豆は緑色のレンズ豆なのですが、残念ながら日本にはあまり輸入がなく、輸入食材店でも扱うところは僅かです。
日本では幻の食材とも言える緑レンズ豆ですが、フランスで有名な産地はリヨンからもほど近いオーベルニュ地方のル・ピュイです。石灰質の土壌がレンズ豆の栽培に適していて、味わいの良さは折り紙付き。AOC(原産地管理呼称)にも指定されています。
リヨン旧市街にある昔ながらのブションのサラディエ・リヨネ。味わいも量もボリューム感満点です。
緑レンズ豆はプティ・サレだけではなく、リヨン料理には欠かせないパートナーとして様々な料理に登場します。リヨンの伝統料理が食べられるブションに行ったら、ぜひ「レンズ豆のサラダ」や「サラディエ・リヨネ」を頼んでみてください。
「レンズ豆のサラダ」はレンズ豆だけのサラダで、ヴィネガーのしっかり効いた豆は日本人にはとても新鮮な味わいですが、噛めば噛むほど甘みが口の中に広がり、溢れるようなミネラル感を感じることができます。
酢モツも食べられるというグルメな方はぜひ、「サラディエ・リヨネ」をどうぞ。
豚の様々な部位を酸味で仕上げたなかなかパンチのある郷土料理ですが、ここにもレンズ豆は欠かせません。
ぜひボジョレー地方のワインと一緒にお楽しみください。
「レンズ豆のスープ プティ・サレ風」のレシピ
人口が増え続ける世界のタンパク源として、世界各国で様々な食材が研究されていますが、世界中で昔から食べられている優秀なタンパク源が「豆」です。
豆を使った新しい食材も多く登場していますが、豆そのものの美味しさにも時にはフォーカスを当ててみませんか。
今回は日本でも手に入りやすいオレンジのレンズ豆を使った簡単フランス家庭料理風スープ。
「レンズ豆のスープ プティ・サレ風」です。
豆とお肉を柔らかく煮込むスープなのに、火にかける所要時間は、なんとたったの10分!
前回に続いて、保温調理で仕上げます。エコなだけではなく、ガス代の節約効果も。
おそらく今までで一番簡単なレシピですが、本場フランス家庭の味です。
材料
材料(2人分) | 分量 |
---|---|
赤レンズ豆 | 100g |
スペアリブ | 200g |
にんじん(細めのもの) | 1本 |
玉ねぎ | 1/2個 |
クローブ | 3個 |
乾燥タイム・ローリエ | 適量 |
レトルトの豆 | 適量 |
塩・胡椒 | 適量 |
※お好みでコンソメキューブ | 適量 |
日本で手に入れやすいのは皮を剥いた赤と、皮付きの茶色のレンズ豆です。
今回はスープに仕上げるので、煮崩れしやすい皮なしの赤レンズ豆を使いました。
今回はさらにミックスビーンズで”追い豆”しました。ホクホクの豆に、スペアリブの美味しさを余すことなく吸わせましょう。
つくりかた
鍋に水500ml程を沸かし、乱切りにしたにんじん、くし形に切ってクローブを刺した玉ねぎ、スペアリブを入れて5分ほど加熱。
灰汁を取り、レンズ豆と塩胡椒(お好みでコンソメキューブ)を加えて1分ほど煮立たせる。
保温調理器にセットして2時間ほど置く。
2時間置いたらレンズ豆が崩れるよう全体を大きくかき混ぜ、再度鍋を火にかける。ミックスビーンズを加えてさらに3分〜4分加熱したら出来上がり!
スペアリブはホロホロ、クローブとハーブ香りが効いて、加熱時間10分の簡単料理とは思えない仕上がり。
春の気配は感じるものの、まだまだ肌寒いこれからの季節。
心も体もほっこり温まるエコな料理、お試しいかがでしょうか?