【はちみつマイスター信田・教えてハニーvol.1】ハチミツってどうやってできるの?

【はちみつマイスター信田・教えてハニーvol.1】ハチミツってどうやってできるの?

こんにちは。日本はちみつマイスター協会認定講師の信田です。

ハチミツは、甘いだけでなく人間にとっての効能が研究されて、たくさんの論文が報告されています。

 

私は2017年に東京銀座で開催された「はちみつフェスタ2017」からハチミツの世界に入りました。2022年までの5年間でおよそ100か所以上のマルシェやデパート食品売り場、イベントに出店しています。この5年間、たくさんのお客様と接していて「ハチミツ」について気が付いたことをお伝えしていきます。

 

タイトルは、「教えてハニー」今さら聞けないハチミツの話。

 

 

第一話は『ハチミツってどうやってできるの?』 をご紹介します。

 

 

 

花ハチミツと甘露ハチミツ

 

みなさんは、ハチミツがお花の蜜から出来ることはご存じですよね?では、ミツバチたちがどうやって花の蜜をハチミツにするのか、知ってますか?

 

ハチミツ誕生の秘密を打ち明ける前に、ざっくりですがハチミツの定義です。コーデックスという食品国際規格では『ハチミツは、植物の花蜜、または樹液などを吸った昆虫の排泄物をミツバチが集めてミツバチが持つ特殊な物質による化合で変化させ、貯蔵し、脱水し、巣の中で熟成のためにおかれたもので水分量は20%(ヒースは23%)以下』と規定しています。

 

まとめると、ハチミツは花の蜜を集めた(1)「花ハチミツ」、(2)昆虫の排泄物から作られる(2)「甘露ハチミツ」です。「甘露ハチミツ」は小笠原産が有名ですが、めったにお目にかからないので「花ハチミツ」のことをハチミツとしてお話を続けます。

 

コーデックスの必須分類と品質要因の項目で

1.販売されるハチミツは、いかなる食品原材料(食品添加物を含む)を加えてはならず、ハチミツ以外のものを添加して作られてはならない。

2.ハチミツは、その本質的成分が変化したり品質が損なわれるような加熱や加工をしてはならない。

3.ハチミツの結晶化に影響を及ぼすような化学的または生化学的処理を施してはならない

と規定しています。

まとめると、ハチミツは何も加えず、何も引かず、加熱や加工をしてはならない。ミツバチたちが作った〖ありのまま〗ということです。

 

 

内勤バチと外勤バチ

 

女王バチが産みつけた卵からミツバチになるまで21日。ミツバチになってから19日間は内勤バチとして巣の中のいろいろに仕事をこなして成長します。内勤バチになってから20日目に外を飛べる外勤バチになります。この日から花の蜜や花粉を集める働き手として大活躍します。

 

ミツバチの巣は、最盛期は3万匹。一匹の女王バチがお母さんの家族で働きバチは全員が女の子(生涯結婚しません)で巣全体の9割ほどです。1割ほどのオスバチは働きもせず、妹やお姉さんから餌をもらっています。オスバチの哀愁に満ちた大切な役目は、いつか「ミツバチの一生」でお話しします。

 

 

花蜜に魔法

 

ミツバチが花の蜜を集めるための飛行距離は巣を中心に2~3km、おおよそ直径3kmが働きバチのワーキングエリアです。このエリアに咲いている花の蜜を1日10~20回、1回に数十から250の花から1回当たり30~40mgを集めます。

 

ミツバチの体重は、およそ80~150mgですから例えば、80mgのミツバチを人間に置き換えると体重50㎏の人が25㎏の荷物を抱えて空を飛ぶなんて、想像しただけでパワフルですね。そのパワフルなミツバチのパワーを支えるのは、完熟したハチミツなのです。

 

外勤バチは、花から花を飛び回って花の蜜を吸い集めて「蜜胃」に貯めます。「蜜胃」はミツバチの活動するための餌が入っている胃とは別の器官で花蜜を一時的に貯めておくことができます。外勤バチは蜜胃がいっぱいになると巣に戻って、内勤バチに花蜜を口移しで渡します。このときに花蜜に魔法がかけられています。

 

 

単糖類と二糖類、さらにインベルターゼとは

 

 

魔法の正体はインベルターゼという酵素です。インベルターゼはミツバチの体内で作られる独特の酵素です。その役割は、二糖類を単糖類にします。

 

花の蜜は、スクロース(ショ糖)でグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)の二つの糖が結合している二糖類です。糖類を人間の体に素早く吸収するには単糖類にしなくてなりません。グルコースとフルクトースの結合をチョキチョキ切って単糖類にしてくれるのがインベルターゼという酵素です。外勤バチの蜜胃、内勤バチの蜜胃で分泌されるので巣房に貯蔵してハチミツに仕上がる頃には単糖類になっているのが、まるで、魔法でしょう。

 

ちなみに、米麹から甘酒を作るときには麹菌(アスペルギルスオリゼーなど)が活躍してハチミツにかけられた魔法のようにブドウ糖と果糖の結合をチョキチョキしてくれます。加熱されていない生の甘酒の整腸効果も注目されています。

 

ブドウ糖は、脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質で、人体にとっても重要な栄養素です。単糖類に分解されていると20分くらいで脳に届きます。午後のけだるい時やお勉強の前に生ハチミツを食べると脳が目覚めてスキッ!!として元気いっぱいになるのです。

 

 

花蜜30度→ハチミツ80度

 

ミツバチの巣は、六角形の巣房が連続して1枚の巣板になっています。この巣房は、ニンゲンが作ったものではなくミツバチが自分たちで分泌したミツロウを原料に建築したものです。

 

ミツロウの作り方は、次の機会にして花蜜をハチミツにする方法を説明します。外勤バチから花蜜を受け取った内勤バチは蜜を貯める巣房に向かいます。巣房には娘たちが集めた花蜜が貯められています。花蜜の糖度は、およそ30~35度で水分がいっぱいです。

 

この花蜜を水分量20%以下、糖度80度以上にしなくてはなりません。水分を飛ばすのに手っ取り早いのは煮詰めればいのですが、あいにくミツバチには火力も鍋も持っていません。そこで登場するのが魔法のウチワ、つまりミツバチたちの羽根です。巣の中で乾燥担当のミツバチたちが羽根を振るわせて、せっせと花蜜の水分を飛ばします。

水分が飛ばされ糖度がオッケーになると巣房には蜜蓋がされます。蜜蓋された巣房が完璧なハチミツですよの合図です。蓋されてない巣房は糖度が低いのでまだ蜂蜜とは言えません。かなりの重労働みたいですがミツバチという種をつなぐ本能で頑張っているのでしょうね。

 

 

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資料:日本はちみつマイスター協会 写真:信長江美 イラスト:池田美佳

 

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