【週末のパルタージュVol.18】フランスの冬はパンデピスの香り

【週末のパルタージュVol.18】フランスの冬はパンデピスの香り

お料理クラブパルタージュの竹本です。
日常が少し華やかになるフランス家庭のお料理や生活の知恵をご紹介します。

 

 

クリスマスツリーも飾られるようになって、冬も本番という雰囲気になってきました。今年はなんだかいつもと様子が違うようですが、サンタクロースは毎年のようにプレゼントを届けにきてくれるのか、子供たちは内心ドキドキなのかもしれません。

 

今回はそんな子供たちに、サンタクロースもきっと大好きなフランスのお菓子をご紹介したいと思います。

 

 

 

フランスの冬はパンデピスの香り

 

パンデピスという焼き菓子をご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
少し前から日本のケーキ屋さんでも見かけるようになってきましたが、フランスの冬には欠かせない蜂蜜とスパイスのケーキです。”パン”と名前がついていますが、蜂蜜がたっぷり使われていて甘さがあるので、ケーキと呼んだ方がイメージしやすいと思います。<

 

クリスマスの前から登場するクリスマスマーケットではこのケーキの大きな塊が山積みにして売られていて、八角やシナモンのふくよかな香りが人の足を止めます。

 

フランス各地で食べられているお菓子ではありますが、名物はアルザス、そしてディジョンのものです。

 

 

ディジョンはブルゴーニュ・フランシュ・コンテというエリアにある街です。名前の通り、ワインで有名なブルゴーニュの近くの街です。

ディジョンはかつてあったブルゴーニュ公国の首都で、街中には当時の宮殿が姿を留めています。マスタードやフルーツリキュールが有名なので、ディジョンという名前は知っているという方は多いかもしれません。

 

パンデピスはここ、ディジョンの名物です。

中国で原型が生まれたと言われているパンデピスは、ハンガリーやドイツを経由して、14世期にはデイジョンにもたらされました。現在もディジョンには220年続くパンデピスの工房があり、クリスマスが近くなるとフランスのいたるところでディジョンのパンデピスに出会います。

 

ディジョンに近いリヨンでも、この季節になるといろいろなところでこのケーキをいただきました。クリスマスまでの間、少しずつ切り出して朝のコーヒーやお茶の時間にいただいたり、フォアグラに合わせてアペリティフを頂いたりするのが冬の習慣でした。

糖分が多いので、いつまでもしっとりして日持ちがするので長く楽しめるのも特徴です。心なしか今の季節になると街の中までパンデピスのアニスの香りが漂っているような気がしていました。日本に居る今でも、パンデピスを焼くとリヨンの冬の空気を思い出します。

 

今回は簡単に作って楽しんでいただける、家庭用のパンデピスのレシピをご紹介したいと思います。

 

 

 

お手軽パンデピスの作り方(中型のパウンドケーキ型1本分)

 

 

材料 分量
薄力粉 150g
砂糖(赤糖がおすすめ) 50g
蜂蜜 150g
牛乳 65cc
バター(無塩) 60g
重曹 7g
スパイスミックス 小さじ1(後ほどご紹介します)

 

 

パンデピスで使うスパイスミックスは、フランスではスーパーでも手に入れることができますが、日本で見つけるのは難しいようです。

私はシナモン・ナツメグ・八角・アニス・クローブ・ジンジャーの粉末を混ぜて使っています。手に入るようでしたらキャトルエピスでもOKですが、ディジョンのパンデピスの老舗「ミュロ・エ・プティジャン」の当主の方によると、ディジョンのパンデピスの特徴の一つにアニスの香りがあるそうなので、手に入る方はアニスを、そうでなくてもぜひアニスに近い香りのある八角の粉末は加えてみてください。

またディジョンのパンデピスは乳製品を使わず卵を使って作りますが、今回は作りやすさを取ってバターと牛乳を加えています。

 

砂糖は三温糖やきび糖でもOKですが、パンデピスの深い色を出すには赤糖がおすすめです。

赤糖は粉末の黒糖によく似ていますが、黒糖は風味が強すぎるので間違えないようにお気をつけて。

 

 

 

お手軽パンデピスの作り方

薄力粉、砂糖、重曹、スパイスを大きめのボウルにふるう。

 

 

赤糖はふるうと写真のような小石状の塊がふるいに残るので、こちらは別のボールに取っておきます。

 

 

蜂蜜を湯煎で柔らかくして、溶かした無塩バターと牛乳を加えます。小石状の赤糖の結晶を加えて、あらかた溶けるまでよく混ぜ合わせます(完全に溶かす必要はありません)。

 

 

薄力粉と砂糖をふるったボウルに蜂蜜・バターの液を加え、ダマがなくなるまでよくかき混ぜます。

 

 

薄くバターを塗ったパウンド型に生地を流し入れ、何度かトントンと落として大きな気泡を消します。

生地の粘度が高いので、この作業は少し念入りに。160℃に予熱したオーブンで45分焼きます。

 

 

焼きあがりです。竹串を刺してみて生焼けでないことが確認できたら半日ほどおいてしっかりと冷まします。

 

 

荒熱が取れたら完成です。水飴を使ってスパイスやオレンジピールを飾りつけても。

 

 

切ると中はこんなふうに、パウンドケーキのような仕上がりですが、もっちりとした食感です。
糖分が多いので常温でもかなり日持ちしますが、食べる分ずつスライスしてラップに包んで冷凍してもOKです。

 

コーヒーやお茶と一緒にいただいても美味しいですが、私のおすすめはフォアグラと合わせる食べ方。
ぜひこの冬の食卓のお供にお試しください。

 

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