【ワインは特別なお酒】ソンユガンのブドウ栽培挑戦〜垣根仕立て用の支柱準備〜

【ワインは特別なお酒】ソンユガンのブドウ栽培挑戦〜垣根仕立て用の支柱準備〜

今年2年目を迎えるブドウ樹たちは、昨年以上に生長する予定であり、それに伴い、誘引する為の紐をはる支柱をいくつか立てなければならない。来年には、完全に完成していなければならないが、今年は間に合わないため、簡易的な仮の垣根棚を設置する予定だ。

 

 

 

一般的に使用される資材

 

 

一般的にワイン用ブドウ栽培の垣根仕立てに使用される資材は、支柱(隅柱、中柱)、アンカー、ワイヤー、各種アタッチメントなど。設置工事には、重機が使用され、1ヘクタール(100m×100m)工事費込みで200万円以上かかる。(会社によって異なる)

 

 

支柱の素材・種類

 

 

支柱にも様々な素材のものが存在する。

 

木柱

ヨーロッパの伝統国で今でも使用されている木の柱。日本でも古くから採用されてきたが(松、ケヤキ、栗など)、湿度の高い日本での耐久年数が短く(防腐剤ありで10年以上)使用はあまりされていない。

 

コンクリート柱

昔は広く使用されていたが、現在はほぼ見かけない。重量がありすぎ非効率。金属の錆や、木材の腐れがない為、耐久年数がとてもながいが、時代と共に他の資材へと変わった。

 

金属柱

板厚が薄く、コンクリートより強度が弱いが、木材以上、パイプにメッキ処理を行い耐久年数を伸ばしたものや、ワイヤーの取り付けがしやすいように加工されたものなどがあり、現在の主流。

 

 

 

杉を支柱として使用

 

 

どの素材のものを支柱として使用するか検討したが、「杉」を自ら間伐製材することに決めた。

現在、一般的に使用されている金属のものを使用すれば、耐久年数も長く、専門業者が全ての工事を行ってくれるので労力も時間もかからない。しかし、逆の、耐久年数は短く、間伐製材するにはおおきな労力と時間を有する木材(杉)を選んだ。

選んだ理由はいくつかあるが、日本国内で問題になっている「放置された杉林」もその理由の一つだ。

 

木材が売れた時代に森の樹木は伐採され、多くの杉が植えられた(人口林)。しかし、時代の流れと共に需要は減り、海外からの安い木材が輸入され始めたことにより、間伐などの手入れをすること前提で植えられた杉だが、そうされることもなく、伐採される事なく、切り時を迎えても高密度で植えられたまま放置状態になっている問題。

木の枝葉が茂っている部分(樹冠)がお互いに接している為、地面に光が届かなくなり、下生えも生えなくなる。下生えがないための表土流失、栄養不足、ひょろひょろの幹の極端に細い線香林ができあがる。こういった木は非常に根も浅く、強い雨風雪で根こそぎ流されたり、それによる山崩れなどを引き起こす可能性もあるという。

 

 

 

杉の利用

 

 

日本の杉林の現状を知り、畑に隣接している杉林も少し手入れするべきかと考えていた。

垣根仕立ての資材見積もりを専門業者にお願いしたところ、請求金額が400万円(※工事費込)。

遥か昔から行われている、ブドウを栽培するという、自然の中での営み。本来ならば、もっとシンプルなはずの農業に、資材だけで本当にそこまで、お金をかける必要があるのか。利便性や効率だけを求めれば、キリがないが、その選択が、本当に人間以外の生きもの、地球にとって最善のものなのだろうか。

 

杉を間伐すれば、杉林に光が入り、彼らも嬉しく、私も資材にお金がかからず嬉しい。地主さんも管理しきれずにいる杉林を、少しでも間伐してきれたら嬉しいとのお返事。関わる全ての者が嬉しいならやるべきだと思った。

 

 

 

伐採から製材までの工程

 

 

杉林の中から、密植しすぎている部分や、間伐すべき細いものを選びチェンソーで伐採。支柱の長さに切り直し運搬、皮をはぎ、乾燥させる。

 

 

 

自然との関わり方

 

山に入って自ら樹木を伐採し製材するのは、正直とても時間と労力を必要とする。しかし、自然にあるものを使わせて頂く事で、人間と自然が接する機会が増え、その資源を守るために持続可能な関わりを持ち、お互いが良い関係性を築き、そしてその素材が循環できるものであるならば、それに越した事はないのではと感じる。

 

日本で木材を資材に使用する事は、高湿度で腐りやすく耐性年数が短い為に勧められていない。しかし、10年しかもたないのであれば、10年毎に森に入り、間伐整備をしてあげることで、とても良い関係性が生まれるのではないだろうか。この日本中に溢れる、放置された杉林に、光が戻ることを願い、今日も木を切りに行く。

 

 

 

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