「浅川ダム」の建設により掘り起こされた約20万年前の土の中には、農業の手助けをしてくれるような微生物は存在せず、有機物の乏しい極めて地力の低い土壌であることは、前回のブログでお話した通りである。
これをブドウ栽培に適した「生きた土壌」に変えるには、とても長い時間がかかってしまう。
この20万年という長い時間を埋めるには土壌改良が必要だった。
前回の記事をご覧いただいてから、今回の記事をご覧いただいた方が、より理解が深まると思います。
目次
土に息吹を(有機物と微生物)
一般的に土壌とは、「陸地の最上層を構成する部分で、岩石が砕けて細粒となったものに、地球表面の生物遺体またはその分解物が混じったもの」と言われている。
つまり、物理的・科学的風化により岩石が土へと変化し、その中で無機物や有機物を利用しながら増殖する多くの微生物が活動を始めることで、草や灌木類の生育が可能になり、さらに動植物の遺体など、有機物の集積、腐植の蓄積により、土壌が形成されていくということである。
植物にとって「よい土壌」とは、有機物・微生物などが多く、透水性、保水性、保肥力に優れ作物の育ちやすい土壌である。
植物は自らの力で、有機物から直接エネルギーを吸収することができない。
土壌中に存在する微生物が、有機物を分解して生まれたエネルギー、これ以上エネルギーがない物質(イオン)の形まで分解して、始めて植物は養分として吸収できる。
要するに植物にとって「土壌」「有機物」「微生物」は非常に重要な要素なのである。
有機物の投入
今回の土壌改良で行ったメイン作業の一つは「有機物の投入」でる。(上写真)
長野県内で、きのこ栽培で使用された栽培後の培地を大量に投入することにより、微生物の繁増殖を促し、早い速度で土壌形成を促した。
※きのこ栽培が盛んな長野県内では、この培地を堆肥の素として広く利用している。
天地返し
そして、ふたつ目の作業は大型重機を使用しての「天地返し」(深さ1.5m)である。
天地返しを行うことで、投入した有機物を下層へすき込み、下層にあった土を空気にさらし分解を促進し、また、埋め立て終了時に重機によって踏み固められた硬度の高い土壌を、柔らかくし、通気性、透水性を改善した。
時間をかけ、ゆっくりと
今後も継続して土壌改良を行い、より良い土壌形成(土つくり)を行っていくつもりだ。
化学的な肥料を使わない選択をするならば、植物にとってのエネルギー分解者である微生物達が、より生息しやすい環境を整えていく必要がある。
生物圏における循環システムを尊重しながら、自然摂理と共に歩んで行く。
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