5月に植樹したブドウの苗たちは、気温の上昇と共に発芽し、葉っぱを付け、太陽の光を燦々と浴びながらぐんぐんと成長していった。
その時の様子は、「ソンユガンのブドウ栽培挑戦~植樹後の生育〜」の記事で解説していますのでぜひご覧ください。
まだ植えたばかりのため、ブドウの実を付ける事はできないが、自らの生長のために出来る限りの光合成を行いエネルギーを作り出す。
そして夏が過ぎ秋に入り気温が下がり始めると、彼らは少しずつ冬支度を開始する。
目次
ブドウ樹における収穫期と落葉期の活動
秋になり気温が下がり、日照時間が短くなると、それと共に光合成の効率が悪くなる。
葉からエネルギーをつくり出せなくなってくると、彼らは今までとは逆に、葉を維持するためのエネルギーを無駄使いしないため、葉を落とす準備をはじめる。
この時期の少ない日照時間で行う最後の光合成は、非常に重要な意義を持つ。
それは収穫期(10月頃)。枝の腋芽(えきが)はすでに休眠に入っており、木梢内に同化養分を蓄積して冬の低温に備えると共に、翌春の発芽期に必要な養分の確保も行い始めているからである。
葉は、最後ぎりぎりまで、太陽の光を浴びる努力をしている。
ブドウ樹の登熟・充実した枝への成長過程
冬の寒さに耐える為、枝は茶色く木化し登熟していく。
登熟とは、一般的に子実などに炭水化物、脂質、タンパク質などが貯蔵される事をさす。
ただしブドウにおける登熟とは、今年伸びた新しく軟らかい枝が、基部の方から先端へ向かって徐々に炭水化物を中心とする養分が詰まり充実した枝になることをさす。
基部から先端へ登るように成熟することから「登熟」と呼ばれる。
上記写真の枝は、まさに登熟途中。上へ向かって木質化が進んでいる。
登熟することが出来なかった枝は、冬の寒さに耐える事ができずに枯れてしまう。
自然界での冬支度とは?
ブドウだけでなく、自然界に目を向けてみると、多くの生物がそれぞれの対策で厳しい冬の寒さを乗り切っている。
植物たちは、秋から冬にかけて細胞の中に糖を蓄積し、細胞内液濃度を上げ凍りにくくなるよう身支度を行う。
そうする事で、細胞の生存確率を高めている。冬の野菜が甘くて美味しいのは、このためだ。
動物たちの中には、分厚い脂肪を身に付け体幹部の熱を外に逃がさないようにするもの、体毛を生やすことで体温を逃がさないようにしているもの、餌水のない厳しい冬の間、体温を低くして代謝・必要エネルギーを下げ、冬ごもりや冬眠するものなどがいる。
脂がのった冬の魚も同じ。水温の下がる冬時期に、寒さから身を守るために、体に脂肪分を蓄えエネルギーの放出を少なくしようとする。
ブドウ樹の休眠期
落葉してから、春に芽がでるまでの期間、ブドウ樹は休眠期に入る。
葉の無いこの期間は物質生産は行われず、生命維持の為だけにエネルギーが消費されるが、その量は極めて少ない。
長野の寒い冬をしっかり乗り越えてくれることを祈りつつ、来春の芽吹きをゆっくりと待つ。
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