鮨ブロガーや鮨専門のインスタグラマーにとって、今日ご紹介する店はあまりにも周知の事実で、もはや半世紀前くらいの情報に聞こえるかもしれない。でも、腰果Pは恐縮しない。
だって、何を始めるのにも“時すでに”なんてことないと思うから。
キャスリーン・フリンさんは、生魚をいじったことがなくて、鮨を学びに日本に来て、またベストセラーを生み出した。この本は、海外から見た日本のサカナ文化を知れる。
そして、無知な自分を辱めている人を応援してくれるような素敵な本だ。
そう、「時既に遅し」なんてことは、絶対ない。
かくいう私も「時すでにお寿司」という単語が、weblio辞書にも掲載するほど有名なダジャレワードだったことを、この記事を書くまで知らなかった。
ネガティブな感情はどっかに捨てて、もうそこは、時すでにお鮨。
目次
立川】立川の住民から愛される大行列店!
腰果P:商談前の腹ごしらえに、特選にぎり(8カン、玉子、茶碗蒸し付)を注文。数の子が入っており、苦手で交換希望をしたけど、握った後なので変更不可。
これぞ、リアルな時すでにお鮨。
来店は土曜日の14:00だったので、1分たりとも並ばなかったが、店内はまだお客様が4組ほどいた。この店は平日、土日問わず11:30~あっという間に行列を成す。
あら井鮨 総本店
あら井鮨 総本店
050-3464-1334
神田】LUNCHは「海鮮丼」の1本勝負で潔く、幸福を呼ぶ
腰果P:これは、寝かせが素晴らしかった。熟成によるアミノ酸がうまい。一度も醤油をつけなかった。吾輩は、グルテンフリーなので、原則、店主の一塗以外は、鮨屋でも一度も醤油を使わないことが多い。なるほど、行列の意味がわかる。これは、日本株トレーダーも前場終わってすぐに駆けつける気持ちになりそうだ。
サーモンの適度な脂身も美味しい。アダムス・リバーを想像させるサーモン。そういえばアダムス・リバーは、バンクーバーの北東約450kmに位置する穏やかな川であるが、ネイティブたちが多く暮らすロデリック・ヘイグ・ブラウン州立公園内のアダムス・レイクとシュスワップ・レイクの間を流れる全長わずか12kmの川で、世界中からの観光客が訪れている。太平洋から遡上してくるサーモンの見学のためである。取材によると、この店の美味しい海鮮丼を見たさに、インバウンド客が最近は増えてきたらしいので、数少ない海鮮丼を求めに早めにでかけよう。
後富久ずし(こうふくずし)
後富久ずし
03-3293-5226
銀座】 正月休み中の商談は、鮨で決まり。
腰果P:今年の正月は、元旦から処女作の原稿執筆に追われていた。そして、この店でインフルエンサーの方と商談を行う。1月4日の銀座はSALEが盛んでごった返しており、消費税増税の財布の紐が締まった様子もなかった。正月だからといって仕込みや流通の心配なんて、もはや杞憂であり、当店の光物はしっかり酢で締まっていた。
うまい鮨勘 銀座二丁目支店
050-3477-0812
人形町】若者に対しての処遇も、笑顔も素敵な、江戸前鮨
腰果P:まず、この店は店主の人柄が素敵。最初の電話の予約の時点から、素直に店主に会いたくなった。私は声が高く、声色から若さが取れない。電話越しの声帯から顧客の年齢層を判断するのか、電話対応で嫌な思いをすることがたまにある。でも美味しい鮨屋は、たくさんある。
だから、初回の訪問時に予約の電話をする時点で、行く気が失せる店には、ぐっと奥歯を噛み、心を一度静めて、丁重に「予約日程の見間違い」をお告げすることにしている。
相手にとっては、時すでにお鮨。でも人気店であれば人気店であるほど、人情に厚く、接客も丁寧だったりする。流石である。
鮪の美味しさに触れて、ネタの産地まで最初に教えてくれる
腰果P:ランチもディナーも、お任せのコースが同じ。この日は、鮪が3ネタ出た。
そういえば、10/10は「まぐろの日」である。かつお・まぐろ漁業協同組合が、制定した記念日なのだ。理由は、1200年以上前の10/10(西暦 726年)にまで遡る。百人一首でも有名な山部赤人はこの日、聖武天皇のお供をして明石地方を旅していた。その時に、鮪を獲って栄えているこの地を讃えて詠んだ謌が万葉集にあったことから、マグロ漁で栄える明石地方を讃えて、鮪の日になったそうだ。
「ちはやぶる」という漫画が流行って、百人一首の対戦をしたくなったことがあったのだけれど、肝心な詩を覚えていないのだ。これもまた、時すでにお鮨。
㐂寿司
㐂寿司
03-3666-1682
編集後記
「深いカベルネの色の身に、さっと刷毛で塗ったような白い脂肪のライン」
鮪の色味を“カベルネ”って…ワインみたいに言うかね。
この表現、すこぶる嫉妬。早速、蛍光ペンを引かせていただいた。
先ほどのアダムス・リバーの話。あそこで生活するネイティブたちは、豊かな恵みを与えてくれるサーモンと自然への尊敬の念を決して忘れないそうだ。私も職人さんたちの尊敬の念があるから、コミュニケーションが愉しくて仕方ない。
サーモンたちは1日平均時速29kmものスピードで、約18日間かけて遡る。外食の時間とは、まるでサーモンの遡上のように、「再び来店したい」と素直に思うコミュニケーションが理想的なのであろう。御馳走様でした。
腰果P
併せて読みたい 腰果Pの料理脚本