お料理クラブパルタージュの竹本です。
日常に取り入れて楽しめるフランスの家庭料理をご紹介しています。
フランスの食文化というと、食事よりもお菓子の方がたくさん思い浮かぶ。そんなお話をよく伺います。
繊細なチョコレートやカラフルなマカロン、バターが香ばしいフィナンシェやマドレーヌのように、フランスは美味しいお菓子の宝庫。
日本にはパリの有名なパティスリーも多く進出しているので、優雅なフランスのお菓子は、とても身近に感じます。
ただ、フランスでは老若男女に愛されて、どこのパティスリーやパン屋さんでも見かけるのに、不思議なことに日本ではほとんど見かけないお菓子があります。
それが「フラン」もしくは「タルト・フラン」です。
目次
フランスの隠れた国民的スイーツ「タルト・フラン」
タルト・フラン photo by Edmund Vermeulen (flickr)
「フラン」は、フランス語で「プリン」に近い料理の呼び方です。
少し曖昧な言い方をしたのは、日本で「プリン」というとカラメルがかかった甘い卵と牛乳のお菓子を指しますが、フランスでは例えば茶碗蒸しのような料理も「フラン」と呼ばれることがよくあります。
つまりフランとは卵が入ったプルプルとした食感の食べ物のことなのですが、甘いフランをブリゼ生地(甘くないクッキーのような生地)を敷いた型で焼き締めたのが、「タルト・フラン」です。
このタルト・フラン、フランスではどのパン屋さんやパティスリーに行ってもかなりの確率でショーケースに並んでいます。フランだけのプレーンなものはもちろん、アプリコットが入ったもの、ココナッツ風味もよく見かけます。
プレーンなものであれば、大きな1ピースを2€ほどでパン屋さんで買うことができます。バニラの効いたプルプルとした食感のカスタードクリームがサクサクのブリゼ生地と相まって、素朴なのにたまらなく美味しいお菓子です。
フランス人にとってはあまりにも日常に溶け込んだお菓子のせいか、とりわけタルト・フランが大好き、という人にはあまりお目にかかったことはありません。
でも、過去にフィガロ紙が一流のパティシエや評論家とともにパリで一番美味しいタルト・フランのランキングを発表した時には話題を呼び、ああなんだ、みんなやっぱり好きなんだと、なんだか不思議とホッとしたのを憶えています。
こういう素朴なお菓子こそ、毎日食べても飽きない日常の小さな贅沢かもしれません。
今回は家庭で簡単に楽しめるようブリゼ生地は使わず、フランの生地だけを型で焼くレシピをご紹介します。
今話題の台湾産パイナップルを使ったアレンジです。
フランのココナッツ風味の作り方(中型のグラタン皿1枚分)
材料(中型のグラタン皿1枚分) | 分量 |
---|---|
牛乳 | 500ml |
コーンスターチ | 50g |
粉砂糖 | 70g |
卵 | 全卵1個と卵黄1個 |
ココナッツオイル | 15g |
パイナップルのシロップ漬け | 150g |
バニラエッセンス | 適量 |
今話題の台湾産パイナップルが手に入ったので、食べきれない分を砂糖とレモン汁で煮てシロップ漬けを作りました。今回はこれを使います。
もちろん缶詰のパイナップルでも問題ありません(生のパイナップルは酸味が強すぎるので、缶詰がおすすめです)。
フランのココナッツ風味の作り方
卵をボウルで泡立て器を使ってよく解きほぐし、粉砂糖を加え、ダマがなくなるまでよく混ぜ合わせます。
小鍋に牛乳を温め、ココナッツオイルとバニラエッセンスを加えて60℃ほどになるまで温めます。
卵と砂糖を混ぜ合わせたボウルにコーンスターチをふるい入れ、よくすり混ぜます。
コーンスターチがきれいに混ざったら温めた牛乳を少しずつ注ぎ、全体をよく混ぜ合わせます。
混ぜ終わったら漉し器を通して液を牛乳を温めた鍋に移し、弱火で加熱しながら全体がもったりしてゆるいペースト状になるまで加熱します(加熱する間はダマができないよう、ヘラで全体を常に混ぜ続けます)。
グラタン皿にココナッツオイル(分量外)を塗り、パイナップルの砂糖漬けを敷きます。
上からフラン生地を流し、満遍なくならしたら180℃に予熱したオーブンで25分加熱します。焼き上がったら完全に冷めるまで待ち、冷蔵庫で適度に冷やしたら完成です。
ぷるんとした食感のカスタードが新鮮な、優しいお菓子です。
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