2022年、今年も日本含め世界各地で自然災害が発生している。
日本では、8月に北海道、北日本、日本海側で記録的な大雨が続き、土砂災害、洪水など大きな被害をもたらした。それ以外にも各地で局地的な大雨による災害や、記録的な猛暑による人的被害、史上最短の梅雨、全国24地点での最高気温の記録更新など、様々な異常気象が起こっている。
2019年の台風19号(静岡、関東、甲信越、東北/死者105人/住宅被害100,621棟)
2020年7月の豪雨(熊本県、九州、中部/死者84人/住宅被害16,548棟)
2021年8月の集中豪雨(西日本/人的被害30人/住宅被害6466棟)
世界でも多くの災害が起きている。特に気候変動により威力を増し長期化する熱波によって起きる猛暑や干ばつ、山火事などによる被害が大きい。
自然災害が起こる原因の100%が気候変動によるものではないかもしれないが、しかし、地球温暖化が自然に大きな負の影響を与えている事に間違いは無い。
今後さらに増え続けるであろう自然災害。
日本で増えるだろうと予測されている「大雨」
(高温多湿な夏に、地球温暖化により増加した大気中水蒸気が影響し大雨を降らす)
そして、世界で増えると言われる「干ばつ」
(日本のように雨が多い地域はより雨が多くなり、少ない地域はより雨が少なくなるという極端化が起こっている)
世界中で起きている自然災害をここまで目の当たりにして、私たち人間は何を考えるべきなのか?
目次
どうしてサステナブルなブドウ農家を目指すのか
2009年にオーストラリアへ渡り過ごした2年間。その約1年間お世話になったワイナリー「Smallfry Wines」。
オーガニックでブドウを栽培し(現在はビオディナミ)自然なワインを醸す夫婦二人のとても小さな生産者。そこで見た自然とともに生きる彼らの生活。
帰国後、ソムリエに復帰してから出逢った沢山の愛すべき生産者たち。
お金儲けや効率重視とは真逆の、苦労を厭わない自然を敬い生まれる心打つワイン達。
2018年に長野へ移住し、始めたブドウ栽培。
農を営む中で感じ、気づいた自然の偉大さ。そこに生える草花や木々、そこで生きる虫たちの存在。
この「奇跡」とも言える恵まれた惑星「地球」の中で暮らすのは人間だけではない。
他の多くの生物たちが「生きる」という役割をそれぞれが果たす事で地球の生命が保たれている。自然が自然を生み、その恵みを享受し循環する美しい仕組み。
人間以外の「自我」のない彼らは、そんな事を考える事もなく、ただその秩序に従い「生きている」。
地球上に存在する全て生命(生き物)の中で唯一その秩序から外れた生物「人間」
その人間の活動が与える環境への影響。
人間が、それ以外の生物と同じように生きる事は不可能であろう。しかし、私たち人間は何をすべきなのか? 何ができるのか?
サステナブル(持続可能)な生活とは?
私たち人間も地球の一部であること、そして、多くの生物が暮らすこの星の一住人である事を理解し、他生物との共存共栄、その循環に加わり、出来る限りサステナブル(持続可能)な生活および活動を目指す。
人それぞれ生活も活動も異なる中で、それぞれが一つ一つの行動にサステナブルな選択をしていく。
これが現在の私たちがするべきことではないだろうか。
※「サステナブル」
サステナブル(英: sustainable)とは、sustain(持続する)とable(〜できる)からなる言葉で、人間の活動が自然環境や資源に悪影響を与えず、かつその活動を維持できるさまを表す。「持続可能」と言い換える<ことが多い。
私は元ソムリエのワイン造りを志す一人の農家である。
田舎での生活、そしてブドウ栽培。
グラスに注がれた美しい液体に思い描く華麗な世界とは裏腹に、ワインは自然破壊や環境問題とも密接に関係している産業である。
開墾(自然破壊)
水(資源)
肥料、農薬、除草剤(環境汚染)
資材、農業機械(環境問題)
など
果たして、己の「夢」や「生活」を理由に、非サステナブルな農業を営む事が許されるのだろうか?
それでは、サステナブルなブドウ栽培とは?
私たち農家は、この問いについて考え、それと真剣に向き合わなければいけない時が来ている。
土地選び、栽培品種の選定、栽培方法、土壌、気候
次回の記事から、実際に一般的なブドウ畑で行われている農法を踏まえ、私たちが向かうべき方向を深く探って行く。
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