【受け継ぎたいばあちゃんの知恵 vol.8】冬至に食べたい、あったか料理。

【受け継ぎたいばあちゃんの知恵 vol.8】冬至に食べたい、あったか料理。

こんにちは、栄養士・食育栄養インストラクターの片桐佑香です!

 

【受け継ぎたいばあちゃんの知恵】は、“食の多様化が進む中でも、10年後も20年後も、ずっと受け継がれて行けば素敵だな”と感じる「ばあちゃんの知恵」が詰まった日本の伝統的な“美味しいもの”を、漬物作り・味噌作りなど、手仕事が大好きな私がご紹介していく企画です。

 

2020年、皆さんにとってどの様な1年でしたか?新型コロナウイルスの影響で外出自粛や休業を余儀なくされた時期もありましたね。けれど、お家で過ごす時間が長かったからこそ、出来たこと、気づけたこともあったのではないでしょうか。私は、自分自身をじっくりと見つめ直し、新たな道へ進む準備をすることが出来た1年となりました。

 

12月に入ると、「こんなに暗いのにまだこんな時間か!」と日の短さにびっくりすることも度々あります。冬至が近づいていることを実感します。気温もだいぶ低くなってきて、温かいものが美味しく感じる季節になりました。鍋やおでんなど、温かくて美味しい冬の料理はたくさんありますが、私にとって思い出があるのは「すいとん」です。

 

今回は、栄養たっぷりの、かぼちゃを使ったすいとんのアレンジレシピをご紹介したいと思います!

 

 

 

すいとんとは?

 

すいとんとは、小麦粉を水で練ったものを手でちぎったり、スプーンですくったりして野菜や肉の入った汁に入れて煮た料理です。呼び方は地域によって違いがあり、“ひっつみ”“はっと”“つめり”“とってなげ”“ひんのべ”など様々。出汁の味付けは醤油の地域もあれば、味噌の地域もあり、その土地の特色や特産、味の好みに合わせて、それぞれの形で親しまれています。

 

      

私の故郷、長野県の上伊那地方では“おだんす”と呼ばれており、かぼちゃや大根などたっぷりの野菜が入った味噌汁の中に、水で緩めに溶いた小麦粉をスプーンですくって入れ、煮て作ります。私は、ばあちゃんがよく作ってくれる具材たっぷりのおだんすが大好きです。汁自体は優しくてシンプルな味だけれど、もっちりとした生地の存在感が嬉しく、食べるとなぜか安心して、優しい気持ちになれる気がします。

 

食卓を囲んでみんなでおだんすを食べる時、ばあちゃんは必ずこう言います。

 

「昔はこれがごちそうだったんだに。」

 

ばあちゃんがまだ幼く、戦時中だった頃、食糧難で米はかなり貴重でした。米の代用食として、さつまいもやじゃがいも、そしておだんすが食べられていたそうです。おだんすと言っても具材も少なく、出汁の味も薄かったそう。それでも、ささやかな食事の時間、温かくもっちりしていて腹持ちのおだんすは、当時の人たちの心を温めたのでしょう。

 

今では、終戦記念日にすいとんを食べるという行事が毎年全国で開かれているそうです。

 

 

 

かぼちゃの栄養

 

「冬至にかぼちゃを食べると風邪を引かない」という言い伝えがありますね。これは、栄養のあるかぼちゃを食べて、寒い冬に備えようという昔の人の知恵です。

かぼちゃにはβ-カロテンが豊富に含まれます。β-カロテンは体内でビタミンAに変化し、皮膚や粘膜を正常に保ち、免疫力を上げてくれるため、風邪予防に効果があります。

おすすめは油と一緒に料理して食べること!ビタミンAは油に溶けやすいビタミンなので、こうすることで体内への吸収率がアップします。また、冷え性改善に効果があるビタミンE、免疫力を高めるビタミンCも多く含まれています。

 

かぼちゃの収穫時期は夏ですが、冬まで保存が効きます。昔の日本では冬に食べられる野菜は少なく、かぼちゃは貴重な栄養源だったのです。

 

 

 

 

かぼちゃのつるっとクリームすいとんのレシピ

すいとんといえば、醤油や味噌といった和風の味付けがお馴染みだと思いますが、そこにちょっと材料をプラスするだけで、洋風のとっても美味しいすいとんにチェンジします!

 

かぼちゃのつるっとクリームすいとんの材料(4人分)

 

材料 分量
かぼちゃ 200g
小葱 2本
大根 100g
にんじん 50g(中くらいのもの1/2本)
しめじ 100g(1/2株)
かつお昆布出汁 200㏄
小麦粉 70g
片栗粉 30g
少々
75㏄
牛乳 250㏄
味噌 大さじ2
生クリーム 大さじ2

 

かぼちゃのつるっとクリームすいとんの作り方

1.かぼちゃは皮をむいて一口大くらいの大きさに切り、耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジ600Wで6分加熱。硬ければ更に加熱する。熱いうちにフォークの背を使って潰す。(なめらかにならなくてOK)

 

 

2.小葱は小口切りにし、冷蔵庫で保管しておく。大根とにんじんは皮をむいていちょう切りに、しめじは石突を切ってほぐし、鍋に入れる。出汁を加えて中火にかけ、具材が柔らかくなるまで煮る。

 

 

3.別の鍋にお湯を沸かしておく。ボールに小麦粉、片栗粉、塩を入れて混ぜ、水を少しずつ入れてスプーンで混ぜて生地を作る。

 

 

4.沸騰したお湯にスプーンで生地を落として団子を作り(12個)、茹でる。少しすると固まって来るので、底にくっつかないようにはがす。浮き上がって来たら3分茹でて、ざるに上げる。

 

 

5.2の鍋に1のかぼちゃを溶かし入れ、牛乳を加えて沸騰直前まで温める。1度火を止めて味噌を溶かし入れ、4のすいとんを加えて弱火で5分煮る。

 

 

6.生クリームを加えて混ぜ、器に盛り付けて小葱を散らす。

 

 

このレシピのポイントは、生地に片栗粉を加えること。こうすることでもっちり&つるっとした食感になりとても美味しいです。かぼちゃの皮をむく際、硬くてむきにくいので手を切らないよう気を付けて下さいね。まな板に置いて皮を削ぐようにすると、上手にむけます。

 

牛乳と味噌の相性は意外に良く、コクのあるかぼちゃクリームに仕上がります。すいとんによく絡んで、ニョッキのような味わい。脂質が含まれる牛乳や生クリームと、かぼちゃを組み合わせることでビタミンAの吸収率がUPします。

 

多めに作って、夕ご飯では献立の一品に、次の日は朝ごはんにしてみるのはいかがでしょう?優しい味で食べやすく、腹持ちもいいのでこれ一つで満足感ある朝ごはんになりますよ。

 

かぼちゃ料理といえば、シンプルな煮物やいとこ煮などが定番ですが、今年の冬至の日は「かぼちゃのつるっとクリームすいとん」を作ってみては?

冬場に必要な栄養もしっかり補給出来て、心も身体も温まると思います。そしてあたたかいゆず湯にゆっくりと入って日頃の疲れを取り、風邪を引かず元気に1年を締めくくりましょう。

 

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