無添加食品プロデューサー「井上嘉文」が提案する【全長555mの商店街に佇むワイン屋さん】のある暮らし

無添加食品プロデューサー「井上嘉文」が提案する【全長555mの商店街に佇むワイン屋さん】のある暮らし

「誇りというものは、結局のところ関心の強さですね。それは、自分がやっていることや持っているものに対して感じる喜びや満足です。もし、関心がなければ、勝者になったりオーナーになるために頑張ったりはしないでしょう。ですから、誇りこそ、始めの一歩だと覚えておいてください。」

引用:「その仕事は利益につながっていますか?―経営数字の「見える化」が社員を変える」ジャック・スタック (著), 神田 房枝 (翻訳)

 

上記のフレーズは、東京・大田区のニッチな商店街に佇む「ワイン屋 うめや」を私に連想させる。

注がれたワインのグラスを回して小休止すると、グラスの内側を伝って流れる“鉄橋の脚のような軌跡”が残る。これをワイン用語では「アーチ」という。
「涙」とも呼ばれ、その形や下がるスピードによって、ワインのアルコール粘性の強弱が分かる。年齢と熟成を重ねた高級ワインを見抜くには、このアーチに着目するのは1つの方法だろう。

ただ、ワインが辿るアーチは、何もグラス内だけではない。その場にいるワイン好きの人の心に鉄橋を架けて、コミュニケーションする手段となるのも、またワインの醍醐味ではないだろうか。
「Dove regna il vino non regna il silenzio」(ワインあるところに沈黙なし)という言葉がある通り、ワインはその場の雰囲気を楽しくさせる。人を饒舌にさせる不思議な飲み物である。

 

「ワインの1番の楽しみは、人と一緒に楽しむこと」

と、「ワイン屋 うめや」の松田オーナーは店のコンセプトを説明してくれた。ワインは、どんな角度から入ってもいいし、難しく考えるものでもない。だから、アーチはお客様が自由に描けばいい。年齢も性別も、紅も白も関係がない。自由にワインに染まればいい。

 

そんなメッセージを私は受け止めた。松田オーナーは、ワインの輸入貿易に携わり、ワインへの関心と誇りをもって「ワイン屋 うめや」をオープンさせた。美味しいワインが人を呼び、ブドウを愛する人がまた人を呼ぶ。地域密着型のワイン屋さんの世界観を垣間見て、経営者の先輩として勇気をもらった。

 

「ワイン屋 うめや」の全面協力により、美味しいワインと対峙した。

今月は、【全長555mの商店街に佇むワイン屋さん】のある暮らし。

Not only information, but also emotion.

 

 

 

他のスーパーマーケットや百貨店と被らないようなワインを置く

ワインが陳列された様子

「ワイン屋 うめや」では、他のスーパーや百貨店と被らないワインを置くことに重きを置いている。フランスを中心に、イタリア、スペイン、NZ、オーストラリア、日本のワインが並ぶ。1000円~3000円のレンジで揃えているので、お買い求めやすい。

 

 

「ワインショップ うめや」のハローウィンナイトに潜入取材!

カヴァのラベルの様子

定期的にイベントを催されているので、参加させていただいた。この日は、ハローウィンナイトだ。まずはカヴァから頂く。

商品名:テロワールオブスペイン ブリュットロゼ
国:スペイン・カヴァ
品種:ガルナッチャ100%

「ワインショップ うめや」のイケメンのソムリエ店長、田中 亜瑠悟さんからの紹介がコチラ。

「カヴァらしいきめ細かい泡立ちとそれに伴い熟れた果実、コンポートの甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐる1品。味わいは決して複雑では無く、ダイレクトに酸味、旨味が伝わってくる。少しジャムのような甘さが口に残る。アペリティフのお料理やアップルタルトのようなデザートにもマッチする」

今回は、刻んだクランベリーがスパークリングに沈められて、まるでホテルのバスタイムのよう。美しいピンク色のロゼスパークリングに、素敵な演出があった。

 

 

アテも侮るなかれ。フレンチのシェフの手作りシャリキュトールたち

料理の様子

中央左から時計回りに、豚のリエット、鶏レバームーズのカナッペ、パテ・ド・カンパーニュ、生ハム、プロシュート(スペイン産)コンテと枝付きレーズン。真ん中に、ザワークラウト。立ち飲みなんだけど、こんな素敵な前菜を出されたら、まだまだ帰れない。

 

 

『La Recolte』のシェフから直送される、おいしい総菜たち

鶏むね肉のパテの様子

続いて、『鶏むね肉のパテ』を注文した。さて、こちらのシャリキュトールは、大森にあるフレンチ『La Recolte』のシェフがつくったものを直接取り寄せている。このパテは、臭みをとるためのセージとハーブが効いていて爽やかで、白でも赤でも合う。添えられたマスタード、ジャムにも店のこだわりがあるので、是非足を運んで聞いてもらいたい。

『日々、ごちそう。フレンチ惣菜屋。』をコンセプトにしているフレンチバル『La Recolte』。フレンチ惣菜屋というくらいだから、シャルキュトリー(パテ・テリーヌなどの肉加工品)が得意なのだろう。どれも美味しくて驚いた。角打ちって、つまみが缶詰とか、結構適当なイメージがないだろうか?「ワインショップ うめや」では、本格的なアテがワインと一緒に食べられるので嬉しい。

 

 

ジャケ買いで話題性、抜群!ハローウィンにピッタリのゾンビ?

ワインラベルの様子

商品名:シャープゾンビエ
国:スペイン・リオハ
品種:テンプラニーリョ100%
生産者:ボデガス・コヴィーラ

うしろにいるのが、店長の田中 亜瑠悟さん!彼の解説がコチラ。

「ゾンビワインだけど、クドさがなく気軽に飲める。テンプラニーリョという品種は酸味も程よくあり、渋味もそれほど強いブドウではないが、造り手の醸造方法によってその特徴が大きく変わる。色が濃く出ており、香りも紫の花を連想させて、樽の香りも無く綺麗な作りであることがわかります。」

なるほど、テンプラニーリョ100%らしさが出ている。飲み口も非常に柔らかくて、タンニンもきめ細かい。

 

 

え?何で調剤室が、ワインショップに??

調理室と書かれた入口の様子

これ、面白くないですか?(笑)

もともとこの店は調剤薬局の「プラム薬局」だった。改装するとき、“お酒を処方する”という意味を込めて、あえてこの硝子盤を残したそうだ。中に部屋があるわけではなく、無造作に白衣がかかっているのも演出であり、薬局が多い梅屋敷に溶け込ませる工夫があった。

 

 

『みんなで乾杯!ボジョレヌーヴォーの会』に参加

イベント会場の様子

 

このイベントは、キュヴェ・シェヴァリエという農場主の単一畑のブドウを使ったボジョレを楽しむ会。オーク樽で用意されたワインとおつまみで、ボジョレーを楽しむ会だ。契約農家のクリュボジョレーとは、格付けされた10つの畑だけの葡萄を使ったボジョレーワイン。その1つがジュリエナ村である。

イベント会場の様子

 

販売されていたのは、“聖なる愛”という名のサンタムール村でつくったワインがお披露目された。その名も、「ル・シャピトール」。これは、ジャイヤール家所有のル・シャピトールという小さな畑の葡萄を使ったもので、年3000本しか出荷されない貴重なワインだそう。プレートは、『La Recolte』のシェフのシャリキュトールを少しづつ。愛別町のビーツ「Sweet Beets Box 」のピクルスも協賛させていただいたが、好評で嬉しかった。

 

 

編集後記

記念撮影の写真


私は、新卒で㈱三菱UFJモルガンスタンレー証券という会社に入った。所属は、エクィティ部 機関投資家営業課。簡単に言うと、日本株専門の法人営業みたいなものである。株式は、“投資家心理”を読み解く必要がある。心理学科を卒業したからのアサインだったのだろうか。歴代で、新卒で初めて入部したのは私だけだったらしい。随分と会社からは期待されたのだろうが、2年あまりで辞めてしまった。でも、1つだけ学んだことがある。

それは、「ビールが飲めないなら、最初から素直に言っていいこと」

私は、ビールが飲めない。アレルギーではなく、味が苦手なのである。「とりあへず、ビール」という台詞は私の辞書には存在しない。でも、当時は付き合いの場では、無理して飲んでいた。

ワインが好きで、大学生から「自分が好きな葡萄って何だろう?」と探っていた人間。けれど、そんな可愛げのない新卒は生意気だろうから“とりあえずの、とりあえずビール”を頼んで、2口飲んでは店の人にバレないように下げてもらっていた。当時の私にとっての飲み会は、“乾杯がすこぶる憂鬱な会”だった。

でも、所属した部署の部長は、葉山に別荘をもつようなお金持ちで、グルメな人だった。「別にいきなりワインでもいいよ。無理して残すくらいなワイン頼め」という温かい言葉に救われた。それからというもの、遠慮なくワインリストを眺めては、先輩が好きそうなワインを聞く役になった。今でも、ずっと私はお酒の場ではワインとパートナーを組んでいる。

ワインは、最初から頼んでも良い飲み物である。「ワイン屋 うめや」のメッセージで、そんな2010年から寝かされていた思い出が蘇った。皆さまも素直な好きを大切に。

 

emotional tribe

 

ワインショップうめや

東京都大田区蒲田2丁目5−3
電話: 03-6873-4002
https://www.facebook.com/Wine.Umeya/

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