こんにちは、蕎麦打ちパフォーマー・岩品幸司です。
蕎麦打ちパフォーマンス・蕎麦打ち教室を通じ、多くの方に蕎麦の歴史・文化を伝承していき、100年、200年と日本の蕎麦文化、ひいては料理・食文化が続いていけるよう精進して参ります。
今回は、蕎麦の『かえし』の作り方について、ご紹介します。
蕎麦屋で命と言えば、蕎麦はもちろんのこと、蕎麦汁を作る『かえし』です。この『かえし』はお店に勤める職人が全て作れる訳ではなく、店主だけしか知らない『一子相伝』のお店も多いです。
職人が作るお店でも数人の者しか『かえし』のレシピは知りません。門外不出のレシピなんです。
醤油と砂糖と味醂だけで作る『かえし』ですが、お店によってそれぞれ分量が違います。
そのため『かえし』は蕎麦屋の命なんです。蕎麦を美味しく食べさせるもり汁になります。
今回は一般的な『かえし』の作り方をご紹介します。
目次
『かえし』の材料
材料 | 分量 |
---|---|
濃口醤油 | 1リットル |
砂糖 | 200g |
味醂 | 100ml |
『かえし』の作り方
1.味醂を強火で一度沸騰させる
2.沸騰したら直ぐに中火にして2分間味醂を煮切りする。(アルコールを飛ばす)
3.砂糖を入れ味醂に溶かす、火加減は強火で
4.ホイッパーでしっかり混ぜながら味醂に溶かします。手を加えてないと焦げます。※なかなか溶けない場合は少量醤油を入れ溶か
5.砂糖が溶けたら醤油を入れる。
6.鍋の周りが白くなってきたら火を止める。※絶対に沸騰させない。
7.仕込んで1週間経ってから使う。作り立てだと醤油の円みがなく、醤油がまだ勝ってます。
かえしは蕎麦汁を作るだけではなく、煮物、すき焼きの割下、豚肉の生姜焼き、野菜炒めのタレ、炊き込みご飯の素にも使える万能調味料です。
作り方のポイント
沸騰したら2分間煮切り味醂をします。火加減は中火から弱火で、強火のままだと引火します。また煮切り味醂しないとアルコール臭の蕎麦汁になります。
2分後、砂糖を入れホイッパーで味醂に溶かします。少し醤油を入れて砂糖を完全に溶かします。火加減は強火、焦げないようにかき混ぜます。
醤油を全部入れ少しホイッパーでかき混ぜます。鍋の周りが白くなってきたら火を止めます。絶対に沸騰させないこと。
容器に入れ保存します。保存場所は涼しく日の当たらない所か冷蔵庫。夏場は冷蔵庫に保管した方が醤油の色が濃くなりすぎません。
なるべく早く使うのが理想です。美味しい調味料はなるべく早く使う事です。ただかえしは腐ることが無いと言われてます。
関東と関西の蕎麦、うどんの汁の違い《前半》
さて、関東と関西の蕎麦、うどんの汁の違いについて知っていますか?
実は、蕎麦切りが始まった江戸時代から違います。
★関西の汁
黄金色した透き通った汁。
★関東の汁
濃口醤油の色が濃い汁。
何故この様な違いがあるのか?その答えは昆布を使うか使わないかです。
関西は昆布を使う汁、関東は昆布を使わない汁です。
何故関東は昆布を使わなかったのか、と言うより使えなかったと言った方が正しいです。
江戸時代昆布は北海道の名産品でした、その昆布は日本海を通って本州へと運ばれました。 この船を『北前船』と言いまして、石川や九州や大阪に北海道の名産品が運ばれていました。 しかし江戸には昆布など流通することがなかったからです。
醤油と鰹節と昆布の関係については、次回後半でご紹介します。