「ホテルはシステム産業であり、教育産業である。もっと言えば、人が人を使って、人を楽しませる人間産業であると言う。」
引用:「夢 軌跡と野望~百年とこれから~」/(著・岡田 清治)
【中古】夢 軌跡と野望〜百年とこれから〜株式会社亀の井ホテル代表取締役社長 穴見保雄 評伝 (単行本(ソフトカバー))
上記のフレーズは、温泉水がきっかけで年間90%以上という占有率を誇る、和歌山県のとある温泉宿を私に連想させる。
旅館ビジネスの特徴は、総経費のうちの固定費の比率が高い。特に人件費。24時間稼働な上にGWや休祭日・団体の有無に対しての必要人員が変わるため、シフトの作り方次第で利益率が大きく変動する。
出張族の私は、「禁煙シングル」の予約がすぐに埋まり、舌を鳴らすことがしばしば。でも、経営者から言わせれば、部屋タイプの割合・間取りを考えて立地と建設費を計算するわけであり、シングル部屋が全体の割合として少ないことも譲歩できる。
「稼働する間に、いかに“空”を埋めるか?」という論点では、空席をできるだけ最小限に抑えたい航空会社の目標と重なるように思える。在庫のない旅館業は客単価×稼働率を上げるかが課題であり、売上の増減と利益が比例するハイリスク&ハイリターンのビジネスモデルだ。臆病者の私には、自己資本であまり介入したくない分野というのが所感。
でも、今日ご紹介をする宿ならばどうだろう。そんな理論は、“水”に流せる気がした。
そう、究極の温泉水が人を呼ぶ。そして健康を呼ぶ。
温泉水からすべてにデリバティブ(派生)している仕組み商圏の世界を垣間見た。この体験を知人に伝えると、こう言われた。「でも結局、温泉水ってクセあるし、たかが水でしょ。何が変わるの?」なるほど、そういう価値観の人もいるのか…。
それでは、emotional tribeが、温泉水の魅力を紹介しよう。
温泉宿「このの」の全面協力により、温泉水「月のしずく」とたくさん対峙した。
今月は、【神秘の水・月のしずく】のある暮らし。
Not only information, but also emotion.
目次
ゆの里お水の宿「このの」を取材
ゆの里お水の宿「このの」創業者である会長の重岡寿美子氏は、和歌山県橋本市に位置する健康ランドをつくりたいという意思から「温泉を掘ってみよう」と決意。
しかし、このあたり一帯には「水脈がない」と専門家が難色を示しており、実際に50mほど掘ってみても何も水が出なかった。
諦めかけていた頃、高野山が震源地の地震が襲った。この地震による地殻変動がきっかけで、無菌の地下水「金水」が湧いた。
こうして、1987年「橋本健康ランド ゆの里」が誕生した。ここから神秘的なストーリーが始まる。
無菌の地下水「金水」を無償で配布
和歌山県の「神野々」と書いて、このの。1300年前、もともと火事で焼かれてしまった100年後の神野々寺に空海が足を運んでいたそうだ。
山岳修行をしている修験道の遍路であり、多くの人が湯の里を訪れるようになる。温泉施設では、この金水を今でも無償配布している。
1990年、地下1187mの深い岩盤の中から温泉水「銀水」が湧き出てきた。この銀水は、火傷やアトピーの改善に有効であり、実際に重岡社長の親族の深い火傷跡がキレイに治ったことで効能を発覚したそうだ。
この2種類の水で、健康ランドは天然温泉施設に変貌を遂げる。そして、金水と銀水を詰めたスプレーボトル「神秘の水」が口コミだけで話題となり、ついにブレンドした飲料水ができた。
鉱水・鉱泉水と言われる水「月のしずく」
平成7年7月7日、「ゆの里」に湧く無菌の地下水「金水」と「銀水」が2つブレンドされたミネラルウォーター「月のしずく」が誕生した。
これがとてつもなく飲みやすい。数ある温泉水を飲んできたが、クセがない。ゴクゴクと飲める上、週4回の水泳後には欠かせなくなってしまった。カラダへの浸透率が違うからだ。軽く、すーっと馴染む。
では、なぜ商品のネーミングは「月のしずく」だったのか?
“水の構造が機能を決める”アクアフォトミクス研究
㈱重岡のユニークな点が、アクアフォトミクスの研究。aqua(水)×photomics(光)とは、一言でいえば、ミクロレベル(mics)の水の研究。例えば、ゲノムと遺伝子について研究する生命科学の一分野も、genomicsと呼ばれる。
「当社は、水のスペクトル分析と解析を繰り返すことで発見が多かった」と社長は話す。水に遠赤外線を当ててどこで反射し、吸収するかなどを調べるようなことも含まれる。
よく果物の糖度を調べるのは、糖分の周りにある水に光をあてて波長から情報を分析している。水を通して、様々な情報を得られるわけだ。
そして、この「月のしずく」には動的平衡という特徴が見られた。気温差によって水の構造に変化がない不思議な特徴のことである。月の満ち欠けで変動する水の構造が発見されて、“水の中に月を刻む効果がある”というストーリーから「月のしずく」になった。
体に優しい温泉水から派生した、数々の商品
夕食では、こちらは水に流せない水の深イイ話がたくさん。
写真の純米酒にも「月のしずく」が使われている。「カルシウム、マグネシウムの量しか見ていない水メーカーが多いんですよ」と社長は語った。
確かに、言われてみればその通りかも。他のミネラル含有量、たんぱく質との結合について関係性を言及している水メーカーは非常に少ないのだ。
「アポトーシスといって細胞が自滅する働きがあるが、死なないといけない細胞が代謝できないと胃癌になったりする。なるほど、上質な水を飲み続けることに健康のヒントがありそうだ。
ゆの里ファームでの6次産業化
さて、「このの」で使われる野菜は90%が自給自足だという。
ゆの里ファームで自家栽培した有機栽培の野菜などが使用されている。玉ねぎを使った自家製ドレッシングも添加物不使用、これらは温泉施設で販売されている。
焼きたての「月のしずくパン」もお披露目
パンの美味しさは水に起因する。「月のしずくパン」の生地を捏(つく)ねる水も「月のしずく」。
ふんわりして美味しそうだ。米粉パンも人気が非常に高く、別工場でのグルテンフリー対応をしている。
井上嘉文が推薦!『サショ・豆乳ヨーグルト』
「ゆの里」のお水で乳酸菌を培養した、完全植物性のヨーグルト!
この商品で最大限に嬉しいことは、「豆乳」べースであること。有機認定の豆乳を使用し、日本とブルガリアの乳酸菌4種類を 「ゆの里」のお水で培養させた。
凝固剤・安定剤など添加物を一切使用していない。専用の果物ソース(希少糖使用)はお好みで甘さを足すことができる。
菌だけにあらず、菌のまわりにある水が重要である。商品の詳細は、コチラ。
東京では、アンテナショップ「みずのとびら」(江東区)で購入ができますよ~!
自慢の水を使った窯炊きのごはんで、朝食を
7:30に起床して朝食会場に向かうと、お客様1名ずつに石窯が用意されていて、炊きあがり時間を計算されてスタッフが火をつけていた。
ここでも随所に温泉水の効果があらわれる。25分で炊きあがる秘訣は、水素結合。水素同士の結合が美しいため、繋がったまま水の温度が早く熱されるという。
水伝導が良いため強火で早炊きをする方が、ごはんは美味しくなることも知った。ここでは米を研いでから、冷蔵庫で一晩寝かせ、翌日に炊く。ごはんの美味しさも「月のしずく」が握っているのだ。
編集後記
地球上のすべての命は、海から始まったといわれている。地球の2/3は水に覆われているため、地球とは宇宙のオアシスである。そんな神秘的なストーリーも、月のしずくから感じさせられた。
以前、「生物が陸上に進出する際に皮膚の内側に海水を携えて陸にあがり、その水分を今でも体液として抱えている」という記事を何かの文献で読んだことがある。これは、僕らの体の2/3ほどが、海水と組成がそっくりな水ででてきている所以であるそうだ。実に面白い。
「届けたいのは、いのちとつながるお水です」をコピーにした株式会社重岡の販売する「月のしずく」、そして水から生まれた数々の商品とストーリー、温泉「このの」での1泊2日は、生命活動においての水の大切さを改めて実感する体験だった。
皆さまも、素直な好きを大切に。
天然温泉「ゆの里このの」 (株式会社 重岡)
〒648-0086 和歌山県橋本市神野々898
0736-33-1126
emotional tribe 井上嘉文
北海道愛別町の特産品「ビーツ」を使った8つのレシピをご紹介
鮮度維持にかける思い「生しらす」の鮮度を保つ秘訣とは?